ISO17025 マニュアル コンサル セミナーアイソ


品質マニュアル
32,400円(税込)

品質・技術管理規定
68,000円(税抜)

校正手順書 
58,000円(税込)

記録様式一式 
28,000円(税抜)

全一括申込みの場合には,
150,000円(税抜)

内部監査チェックリスト
30000円税別

測定の不確かさの手順書
50000円税別

コンサルタント
240万(半年〜1年))





日本適合性認定協会

製品評価技術機構NITE

ぺーリージョンソン



































ISO 経理 MARRY 審査

ISO17025規格


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1  適用範囲

1.1     この規格は,サンプリングを含め,試験又は校正を行う能力に関する一般要求事項を規定する。この規格は,規格に規定された方法,規格外の方法,及び試験所・校正機関が開発した方法を用いて実施される試験及び校正を含む。



1.2  この規格は,試験又は校正を実施するすべての組織に適用できる。これらの組織は,例えば,第一者,第二者及び第三者の試験所・校正機関を含み,また,検査及び製品認証の一部をなす試験又は校正を行う試験所・校正機関を含む。

 この規格は,職員の数又は試験・校正活動の範囲の大小に関係なくすべての試験所・校正機関に適用できる。ある試験所・校正機関がこの規格に含まれる

活動の一つ又は幾つか,例えば,サンプリング,新規の方法の設計・開発のような活動を請け負わない場合には,それらの項目の要求事項は適用されない。



1.2     この規格の注記は,規定内容の明確化,事例及び指針を与えるものである。注記は,要求事項を含まない。また,この規格の必す(須)部分を構成するものではない。



1.4  この規格は,試験所・校正機関が品質上,管理上及び技術上の運営のために自身のマネジメントシステムを開発するに当たって使用するためのものである。試験所・校正機関の顧客,規制当局及び認定機関が,試験所・校正機関の能力を確認又は承認するに当たってこの規格を使用してもよい。この規格は,試験所・校正機関を認証するための基礎として使用することを意図していない。

   注記1  この規格における“マネジメントシステム”という用語は,試験所・校正機関の運営を統括する品質上,管理上及び技術上のシステムを意味する。

   注記2  マネジメントシステムの認証を登録と呼ぶことがある。



1.5  試験所・校正機関の運営に関する法令上及び安全上の要求事項への適合は,この規格には含まれていない。



1.6 試験所及び校正機関がこの規格の要求事項に適合している場合,その試験・校正活動に関して,JIS Q9001の原則を満たす品質マネジメントシステムを運営しているであろう。附属書Aに,この規格とJIS Q9001との項目対照表を示す。この規格は,JIS Q 90Olには含まれていない技術的能力に関する要求事項を含んでいる。

   注記1  矛盾がないように婁求事項を適用することを確実にするためには,この規格の幾つかの要求事項を説明し又は解釈することが必要であろう。特定分野に対する適用を確立するための,特に認定機関(JIS Q 17011参照)のための指針を附属書Bに示す。

注記2  試験所・校正機関が白身の試験・校正活動の一部又は全部についての認定を希望する場合に は,JIS Q 17011に従って運営している認定機関を選択することが望ましい。

   注記3  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO/IEC 17025:2005, General requirements for the competence oftesting and calibrationlaboratories(IDT)







2  引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。) を適用する。

 JIS Q 17000 適合性評価一用語及び一般原則

  注記  対応国際規格:ISO/IEC 17000:2004. Conformity assessment-Vocabulary and general principles(IDT)

VIM, International vocabulary of basic and general terms inmetrology, issued by BIPM, IEC, IFCC, ISO、

 IUPAC, IUPAP and OIML



3  用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Q 17000及びVIMによる。

 注記 品質に関連する一般的な定義は,JISQ9000に規定されており,一方,JISQl7000は特に認証及び試験所認定に関連する定義を規定している。異なった定義がJIS Q 9000に規定されている場合には,JIS Q 17000及びVIMの定義を優先する。



4  管理上の要求事項

4.1  組織

4.1.1  試験所・校正機関又はそれを一部分とする組織は,法律上の責任を保持できる存在であること。

4.1.2  この規格の要求事項に適合し,かつ,顧客,規制当局又は承認を与える機関の二一ズを満たすような方法で試験・校正活動を運営することは,試験所・校正機関の責任である。

4.1.3  マネジメントシステムは,試験所・校正機関の恒久的施設,恒久的施設以外の場所又は関連の一時的若しくは移動式の施設において行われる業務を対象範囲に含めること。

4.1.4  試験所・校正機関が試験又は校正以外の活動を行う組織の一部分である揚合には,潜在的な利害の衝突を特定するため,その組織内で試験所・校正機関の試験・校正活動に関与する又は影響する幹部要員の責任を明確に規定すること。

 注記1  試験所・校正機関が大きな組織の一部分である場合,その組織構成は,製造,営業販売又は財務のような利害の衝突がある部門が,この規格の要求事項に対する試験所・校正機関の適合性に悪影響を及ぼさないような構成であることが望ましい。

 注記2  試験所・校正機関が第三者機関であると承認されることを望む場合には,公平であること並びにその機関及び機関の要員が技術的判断に影響し得る不当な商業的,財務的又はその他の圧力を受けないことを実証できることが望ましい。第三者試験所又は校正機関は,その機関が行う試験・校正活動に関する判断の独立性及び誠実性に対する信用をきず付けるおそれのある活動に従事しないことが望ましい。

4.1.5  試験所・校正機関は,次の事項を満たすこと。

a) マネジメントシステムの実施,維持及び改善を含む責務を果たし,マネジメントシステム又は試験・校正の実施手順からの逸脱の発生を見つけ出し,その逸脱を防止又は最小化する処置を指揮するために,必要な権限及び経営資源を他の責任にかかわらずもつ管理要員並びに技術要員をもつ(5.2を参照)。

注記 経営資源とは,人,もの,財のことをいう。

b) 管理主体及び要員が,業務の品質に悪影響を与えるおそれがあるいかなる内部的及び外部的な営業上,財務上又はその他の圧力を受けないことを確実にするための体制をもつ。

c) 結果の電子的手段による保管及び伝送を保護する手順を含め,顧客の機密情報及び所有権の保護を確実にするための方針及び手順をもつ。

d) 試験所・校正機関の能力,公平性,判断又は業務上の誠実性に対する信頼を損なうおそれのあるいかなる活動にも試験所・校正機関が関与することを避けるための方針及び手順をもつ。

e) 試験所・校正機関の組織及びマネジメント構造,親組織における位置,並びに品質マネジメント,技術的運営及び支援サービスの間の関係を明確に規定する

f) 試験・校正の品質に影響する業務のマネジメント,実施又は検証に当たるすべての要員の責任,権限及び相互関係を明確に規定する。

g) 訓練中の者を含め,試験・校正に当たる職員に対し,個々の試験・校正の方法及び手順,目的並びに試験,校正結果の評価に精通した人物によって適切な監督を行う。

h) 試験所・校正機関の運営の要求品質を確実に実現するために必要な技術的運営及び経営資源の供給に総合的な責任をもつ技術管理主体をもつ。

i) 他の責務及び責任のいかんにかかわらず,品質に関連するマネジメントシステムが常に実施され遵守されていることを確実にするための明確な責任及び権限を付与された職員1名を品質管理者(いかなる名称でもよい。) に指名する。品質管理者は,試験所・校正機関の方針又は経営資源について決定を行う管埋の最高レベルに直接接触できること。

j) 主要な管理要員の代理者を指名する (注記を参照)。

k) 組織の要員が,白らの活動のもつ意味と重要性を認識し,マネジメントシステムの目標の達成に向けて自らどのように貢献できるかを認識することを確実にする。

 注記 個入が複数の職務を受けもつことがあり,それぞれの職務に代理者を指名するのは実際的でないことがある。

4.1.6  トップマネジメントは,試験所・校正機関内にコミュニケーションのための適切なプロセスが確立されることを確実にすること。また,マネジメントシステムの有効性に関しての情報交換が行われることを確実にすること



4.2  マネジメントシステム

4.2.1  試験所・校正機関は,その活動の範囲に対して適切なマネジメントシステムを構築し,実施し,維持すること。試験所・校正機関は,試験・校正結果の品質を保証するために必要な程度まで,試験所・校正機関の方針,システム,プログラム,手順及び指示を文書化すること。このシステムの文書は,担当の要員に周知され,理解され,いつでも利用できる状態におかれ,かつ,実施されていること。

4.2.2  試験所・校正機関における品質方針表明を含む品質に関連したマネジメントシステムの方針は,品質マニュアル(いかなる名称でもよい。)の中に明確に規定すること。試験所・校正機関は総合的な目標を確立し,マネジメントレビューの中でレビューすること。品質方針表明は,トップマネジメントの権限によって発行すること。この文書は少なくとも次の事項を含むこと。

a) 顧客へのサービス提供において,良好な専門職業務及び試験・校正の品質を守るという試験所・校正機関の管理主体のコミットメント

b) 試験所・校正機関のサービスの水準に関する管理主体の表明

c) 品質に関連したマネジメントシステムの目的

d) 試験所・校正機関における試験・校正活動に関係するすべての要員に対し,品質文書に精通し,業務において方針及び手順を実施することの要求

この規格への適合性を守り,マネジメントシステムの有効性を継続的に改善するという試験所・校正機関の管理主体のコミットメント

 注記  品質方針表明は簡潔であることが望ましく,常に試験又は校正を決められた方法及び顧客の要求事項に従って行うことという要求を含んでもよい。

試験所・校正機関が大きな組織の一部分である場合には,品質方針の幾つかの要素が他の文書に含まれることがある。

4.2.3  トップマネジメントは,マネジメントシステムの構築及び実施,並びにその有効性を継続的に改善することに対するコミットメントの証拠を示すこと。

4.2.4  トップマネジメントは,法律・規制要求事項を満たすことは当然のこととして,顧客要求事項を満たすことの重要性を組織内に周知すること。

4.2.5  品質マニュアルには,技術的手順を含めて支援の手順を含めるか,又はその参照を示すこと。品質マニュアルは,マネジメントシステムにおいて使用する文書の構成の概要を示すこと。

4.2.6  この規格への適合を確実にする責任を含め,技術管理主体及び品質管理者の役割及び責任を品質マニュアルの中に明確に規定すること。

4.2.7  トップマネジメントは,マネジメントシステムの変更を計画し実施するときに,そのマネジメントシステムの"完全に整っている状態"(integrity)が維持されることを確実にすること。



4.3  文書管理

4.3.1  一般

試験所・校正機関は,法令,規格,その他の基準文書,試験・校正方法,並びに図面,ソフトウェア,仕様書,指示書及びマニュアルのような,マネジメントシステムの一部を構成するすべての文書(内部で作成した文書及び外部で発行された文書)を管理する手順を確立し,維持すること。

 注記1  ここでいう"文書"とは,方針表明文,手順書,仕様書,校正値表,チャート,教科書,ポスター,通知,覚書,ソフトウェア,図面,図解,その他であり得る。それらはハードコピー又は電子的記録など様々な媒体によってよく,また,デジタル,アナログ,写真又は手書きによるものでもよい。

 注記2  試験及び校正に関係するデータの管理は,5.4.7に規定されている。記録の管理は,4.13に規定されている。

4.3.2  文書の承認及び発行

4.3.2.1  マネジメントシステムの一部として試験所・校正機関の要員に向けて発行されるすべての文書は,発行に先立って権限をもった要員が確認し,使用の承認を与えること。マネジメントシステムの中の文書について現在の改訂状況及び配布状況を識別するためのマスターリスト又は同等の文書管理手順を確立し,無効文書及び/又は廃止文書の使用を排除するため,このリストなどをいつでも利用できる状態にすること。

4.3.2.2  採用された手順は,次の事項を確実にすること。

a) 試験所・校正機関の効果的な機能遂行に不可欠な業務を行うすべての場所で,適切な文書の公式版がいつでも利用できる。

b) 適用される要求事項に対する継続的な適切さと適合性を確実にするため,文書を定期的に見直し,必要に応じて改訂する。

c) 無効文書又は廃止文書は,すべての発行場所若しくは使用場所から速やかに撤去するか,又は他の方法によって誤使用を確実に防止する。

d) 法令上の目的又は知識保存の目的で保持する廃止文書は,適切にその旨を表示する。

4.3.2.3  試験所・校正機関が作成したマネジメントシステム文書を個別に識別すること。この識別には,発行の日付及び/又は改訂の識別,ページ番号付け,全ページ数又は文書の終わりを示す何らかの記号,及び発行権限をもつ者の名を含めること。

4.3.3  文書の変更

4.3.3.1  文書に対する変更は,他の特別の指定がない限り,その文書の初版の確認を行った部署が確認及び承認を行うこと。指定された要員が,確認及び承認の根拠となる関連の背景情報に接触できるようにすること。

4.3.3.2  実行可能な場合,変更された記述又は新しい記述を,その文書の中又は適切な附属文書の中で識別すること。

4.3.3.3  試験所・校正機関の文書管理システムが,文書の再発行までの期間に手書きによる文書の修正を認める場合には,そのような修正の手順及び権限を明確に規定すること。修正箇所は明りょう (瞭)に表示し,署名(initial)及び日付を付けること。実行可能な限り,早期に改訂文書を正式に再発行すること。

4.3.3.4  コンピュータ化されたシステム中に保持されている文書の変更をどのように行い,管理するかを規定する手順を確立すること





4.4  依頼,見積仕様書及ひ契約の内容の確認

4.4.1  試験所・校正機関は,依頼,見積仕様書又は契約の内容を確認するための手順を確立し,維持すること。試験・校正の契約に至るこの確認の方針及び手順は,次の事項を確実にすること。

a) 使用すべき方法を含め,要求事項が十分に確定され,文書化され,理解されている(5.4.2参照)。

b) 試験所・校正機関が,要求事項を満たす業務能力及ひ経営資源をもつ。

c) 適切な試験・校正方法が選定され,顧客の要求事項を満たすことができる (5.4.2参照)。

依頼又は見積仕様書と契約との間での何らかの相違は,業務に取りかかる前に解決すること。個々の契約は,試験所・校正機関及び顧客の双方にとって受入れ可能にすること。

 注記1  依頼,見積仕様書又は契約の内容の確認は実際的,かつ,能率的な方法で行い,財務上,法令上及び時間的スケジュールの側面の影響を考慮に入れることが望ましい。内部の顧客に対しては,依頼,見積仕様書及び契約の内容の確認は簡素化された方法で行ってもよい。

 注記2  業務能力の確認においては,試験所・校正機関が必要な物理的,人的及び情報的資源をもち,かつ,試験所・校正機関の要員がその試験・校正の実施に必要な技量及び専門知識をもつことを確認することが望ましい。業務能力の確認は,過去に参加した試験所間比較若しくは技能試験の結果,及び/又は測定の不確かさ,検出限界,信頼限界,その他を確定するための既知のサンプル若しくは品目を用いた試行試験又は校正プログラムの実行の結果を含むことがある。

 注記3  契約は,顧客に対して試験・校正業務を提供することを示す何らかの書面又は口頭による取決めであってよい。

4.4.2  重要な変更の記録を含め,確認の記録を維持すること。契約の実施期間中に顧客の要求事項又は業務の結果について顧客と交わした関連の討論についても記録を維持すること。

 注記  定型的業務及びその他の簡単な業務に関する確認は,確認の日付及び契約業務の実施に責任をもつ試験所・校正機関の要員の識別(例えば,イニシャル)で十分であると考えられる。繰り返し行う定型的業務に関する確認は,顧客の要求事項に変更がない限り,最初の照会の段階でだけ行うか,又は顧客との一般取決めに基づいて継続的に行う定型的業務の契約を結ぶ段階でだけ行えばよい。新規の,複雑な又は先進的な試験・校正業務については,更に包括的な記録を維持することが望ましい。

4.4.3  確認には,試験所・校正機関が下請負契約するいかなる業務も含めること。

4.4.4  契約からの何らかの逸脱を顧客に通知すること。

4.4.5  業務開始後に契約の修正が必婁となった場合には,前回と同じ契約内容確認のプロセスを繰り返し,修正内容は影響を受ける要員すべてに周知すること。



4.5  試験・校正の下請負契約

4.5.1  試験所・校正機関が,予期しなかった理由(例えば,業務負担,追加的専門技術の必要性又は一時的な業務能力不足)によって,又は継続的に(例えば,長期の下請負,業務代行又はフランチャイズ契約によって)業務を下請負に出す場合には,この業務を適格な能力をもつ下請負契約者に行わせること。適格な能力をもつ下請負契約者とは,例えば,当該業務についてこの規格に適合する者である。

4.5.2  試験所・校正機関は,顧客に対して書面によって取決めを通知し,適切な場合には,なるべく書面によって顧客の承認を得ること。

4.5.3  試験所・校正機関は,顧客又は規制当局がどの下請負契約者を用いるべきかを指定する場合を除き,顧客に対して下請負契約者の業務に関する責任を負う。

4.5.4  試験所・校正機関は,試験又は校正のために用いるすべての下請負契約者の登録簿及び当該業務に関するこの規格への適合性の証拠の記録を維持すること。



4.6  サービス及び供給品の購買

4.6.1 試験所・校正機関は,自身が使用するサービス及び供給品で試験・校正の品質に影響するものの選定及び購買について方針及び手順をもつこと。試験及び校正に関係する試薬及び消耗品の購買,受入れ並びに保管について手順をもつこと。

4.6.2  試験所・校正機関は,購入された供給品,試薬及び消耗品で試験・校正の品質に影響を与えるものは,関係する試験・校正方法で規定された標準仕様又は要求事項に適合することを検査若しくは別の方法で検証が済むまでは使用しないことを確実にすること。使用するサービス及び供給品は,規定された要求事項を満たすこと。適合性をチェックするために取った処置の記録を維持すること。

4.6.3  試験所・校正機関の結果(output)の品質に影響する品目に関する購買文書には,発注するサービス及び供給品を記述するデータを含めること。これらの購買文書は,発行に先立ってその技術的内容に関する確認及び承認を行うこと。

 注記  記述には,種類(type),類別(class),等級(grade),詳細な識別,仕様,図面,検査指示書,試験結果の承認を含むその他の技術データ,要求品質,その製造が従ったマネジメントシステム規格などが含まれることがある。

4.6.4  試験所・校正機関は,試験・校正の品質に影響する重要な消耗品,供給品及びサービスの供給者の評価を行い,これらの評価の記録及び承認された供給者のリストを維持すること。



4.7  顧客へのサービス

4.7.1  試験所・校正機関は,白身が他の顧客に対する機密保持を確実にする条件で,顧客又はその代理者が実施業務に関する顧客の要求を明確化し,更に試験所・校正機関の実行状況の監視に進んで協力すること。

 注記1  この協力には,次の事項が含まれることがある。

a)  顧客又はその代理者が,顧客のために実施される試験・校正に立ち会う目的で試験所・校正機関の関連場所に正当に立ち入れるようにする。

     b) 検証の目的で顧客が必要とする,試験・校正品目の準備,包装及び輸送。

 注記2  顧客は,良好な情報伝達の維持,技術的事項に関する助言及び指導並びに結果に基づく意見及び解釈を価値あるものとみなしている。顧客との情報伝達は,特に大規模な業務の場合,業務期間全体を通じて維持することが望ましい。試験所・校正機関は,試験・校正の実施において何らかの遅延又は重大な逸脱があればこれを顧客に知らせることが望ましい。

4.7.2  試験所・校正機関は,肯定的なもの及び否定的なものを含めて,その顧客からフィードバックを求めること。フィードバックは,マネジメントシステム,試験・校正活動及び顧客へのサービスの改善に用い,分析すること。

 注記  フィードバックの種類の例として,顧客満足についての調査及び試験報告書又は校正報告書の顧客とのレビューがある。


4.8  苦情

試験・校正機関は,顧客又はその他の利害関係者から受けた苦情を解決するための方針及び手順をもつこと。すべての苦情の記録並びに試験所・校正機関が行った調査及び是正処置の記録を維持すること(4.11参照)。



4.9  不適合の試験・校正業務の管理

4.9.1  試験所・校正機関は,白身の試験・校正業務又はその結果が何らかの側面で白身の手順又は顧客と合意した要求事項に適合していない場合に実施すべき方針及び手順をもつこと。この方針及び手順は,次の事項を確実にすること。

a) 不適合業務の管理に関する責任者及び権限者を指名し,不適合業務が特定された場合,処置(必要に応じ,業務の中止並びに試験報告書及び校正証明書の発行保留を含む。) を確定し, 実施する。

b) 不適合業務の董大さの評価を行う。

c) 不適合業務の容認に関する何らかの決定を行うとともに,修正を直ちに行う。

d) 必要な場合,顧客に通知して業務結果を回収する。

e) 業務の再開を認める責任を明確に規定する。

注記  不適合業務の特定又はマネジメントシステム若しくは試験・校正活動に関する問題の特定は,マネジメントシステム及び技術的運営のいろいろな場面で起こり得る。事例として,顧客の苦情,品質管理,機器の校正,消耗品のチェック,職員の監視及び監督,試験報告書・校正証明書のチェック,マネジメントレビュー並びに内部監査又は外部監査がある。

4.9.2  評価によって,不適合業務が再発し得ること又は試験所・校正機関の方針及び手順に対する自身の運営の適合性に疑いがあることが示された場合には,4.11に規定する是正処置の手順を速やかに実施すること。



4.10  改善

試験所・校正機関は,品質方針,品質質目標,監査結果,データの分析,是正処置,予防処置及びマネジメントレビューを通じて,マネジメントシステムの有効性を継続的に改善すること。



4.11  是正処置

4.11.1  一般

試験所・校正機関は,不適合業務が特定された場合又はマネジメントシステム並びに技術的運営の方針及び手順からの逸脱が特定された場合,是正処置を実施するための何らかの方針及び手順を確立し,適切な権限者を指名すること。

 注記  試験所・校正機関のマネジメントシステム又は技術的運営に関する問題は,種々の活動,例えば,不適合業務の管理,内部監査又は外部監査,マネジメントレビュー,顧客からのフィードバック,職員の観察などを通じて特定されることがある。

4.11.2  原因分析

是正処置の手順は,問題の根本原因を特定するための検討から始めること。

 注記 原因分析は,是正処置の最も重要な部分であり,ときには最も困難な部分である。

しばしば根本原因は明白ではなく,したがって,問題のすべての潜在的原因を注意深く分析することが要求される。潜在的原因には,顧客の要求事項,試料,試料の仕様,方法及び手順,職員の技量及び教育・訓練,消耗品又は設備及びその校正が含まれ得る。

4.11.3  是正処置の選定及び実施

是正処置が必要な場合,試験所・校正機関は可能性のある是正処置を特定すること。試験所・校正機関は,問題を除去し再発を防止する可能性が最も高い処置を選定し,実施すること。

是正処置は,その間題の重大さ及びリスクに比べて適切な程度とすること。

試験所 校正機関は,是正処置の検討から生じた必要な変更をすべて文書化し,実施すること。

4.11.4  是正処置の監視

試験所 校正機関は,取られた是正処置が効果的であったことを確認するため,結果を監視すること。

4.11.5  追加監査

不適合又は逸脱の特定が,試験所・校正機関の方針及び手順又はこの規格に対する適合性に疑問を投げかける場合,試験所・校正機関は該当活動範囲に対する追加監査を4.14の規定に従ってできるだけ速やかに実施することを確実にすること。

 注記  このような追加監査は,是正処置の実施に引き続いてその有効性を確かめるために行われることが多い。追加監査は,事業上の重大な問題又はリスクが特定された場合にだけ必要とされるべきである。



4.12 予防処置

4.12.1  技術面及びマネジメントシステムに関して,必要とされる改善及び不適合の潜在的原因を特定すること。改善の機会が特定された場合,又は予防処置を取る必要がある場合には,そのような不適合が起こる可能性を減らし改善の機会を活用するため,行動計画を作成し,実施し,かつ,監視すること。

4.12.2  予防処置の手順には,そのような処置の開始及びそれらの有効性を確認するための管理の適用を含めること。

 注記1  予防処置は,問題の特定又は苦情に対する対応処置ではなく,むしろ改善の機会を特定するための事前のプロセスの一つである。

 注記2  予防処置には,運営上の手順の見直しのほか,傾向分析及びリスク分析並びに技能試験結果の分析を含め,データの分析が関与することがある。



4.13  記録の管理

4.13.1  一般

4.13.1.1  試験所・校正機関は,品質記録及び技術的記録の識別,収集,索引付け,アクセス,ファイリング,保管,維持及び廃棄の手順を確立し,維持すること。品質記録には,是正処置及び予防処置の記録と同時に内部監査及びマネジメントレビューの報告を含めること。

4.13.1.2  すべての記録は読みやすいものであり,損傷又は劣化の防止及び紛失の防止に適した環境を備えた施設中において,容易に検索できるような方法で保管し,維持すること。記録を維持する期間を確定すること。

 注記 記録は,ハードコピー,電子的媒体など,いかなる媒体によってもよい。

4.13.1.3  すべての記録は,機密保持の下で安全に保管すること。

4.13.1.4  試験所・校正機関は,電子的に保存されている記録のバックアップ及び保護の手順,及びそのような記録への無許可のアクセス又は修正を防止する手順をもつこと。

4.13.2  技術的記録

4.13.2.1  試験所・校正機関は,観測原本の記録,監査の追跡を確保するための誘導データ及び十分な情報,校正の記録,職員の記録,並びに発行された個々の試験報告書又は校正証明書のコピーを,規定された期間維持すること。個々の試験・校正に関する記録は十分な情報を含み,可能な場合,不確かさに影響する因子の特定を容易にし,元の条件にできるだけ近い条件での試験又は校正の繰返しを可能とするものであること。記録は,サンプリング,個々の試験・校正の実施及び結果のチェックに責任をもつ要員の識別を含むこと。

 注記1  ある分野では,すべての観測原本の記録を保管することが(原理的に)不可能な場合又は実際的でない場合があるであろう。

 注記2  技術的記録は,試験又は校正を実施することによって得られ,また,規定された

品質パラメータ又はプロセス・パラメータが達成されたかどうかを示すデータ (5.4.7参照)と情報の集積である。そこには,書式,契約書,作業票,作業基準書,チェック票,作業ノート,管理 グラフ,外部及び内部の試験報告書並びに校正証明書,顧客のメモ・書類・フィードバックが含まれるであろう。

4.13.2.3  記録に誤りが発生した場合には,それらを抹消したり見えなくしたり削除したりせず,個々の誤りに訂正線を施し,そのそばに正しい値を記入すること。記録に対する訂正のすべては,その訂正を行った人物の署名又はイニシャルを付けること。電子的に保管されている記録の場合にも,元のデータの消失又は変更を防止するために同等の手段を講じること。



4.14  内部監査

4.14.1  試験所・校正機関は,その運営がマネジメントシステムの要求事項及びこの規格の要求事項に継続して適合していることを検証するため,定期的に,かつ,あらかじめ定められたスケジュール及び手順に従って,白身の活動の内部監査を実施すること。内部監査のプログラムは,試験・校正活動を含め,すべてのマネジメントシステムの要素を対象とすること。スケジュールの要求及び管理主体の要望に沿うように監査を計画し,実施することは品質管理者の責任である。このような監査は,訓練を受け資格認定された要員で,経営資源が許す限り,監査される活動から独立した要員が行うこと。

 注記  内部監査の1サイクルは,通常,1年以内に完了することが望ましい。

4.14.2  監査の所見が試験所・校正機関の運営の有効性又は試験・校正結果の正確さ若しくは妥当性に疑問を投げかける場合には,試験所・校正機関は時機を失することなく是正処置を取り,もし,試験・校正結果が影響を受けた可能性を検討結果が示す場合は,顧客にこの旨を書面で通知すること。

4.14.3  監査された活動分野,監査の所見及びそれから生じた是正処置を記録すること。

4.14.4 フォローアップ活動では,取られた是正処置の実施内容と効果とを検証し,記録すること。






4.15  マネジメントレビュー

4.15.1  あらかじめ決定されたスケジュール及び手順に従って,試験所・校正機関のトップマネジメントは,試験所・校正機関のマネジメントシステム及び試験・校正活動が継続して適切,かつ,有効であることを確実にするため,並びに必要な変更又は改善を導入するために,マネジメントシステム及び試験・校正活動のレビューを定期的に実施すること。レビューは,次の事項を考慮すること。            

 − 方針及び手順の適切さ

 − 管理要員及び監督要員からの報告

 − 最近の内部監査の結果

 − 是正処置及び予防処置

 − 外部機関による審査

 − 試験所間比較又は技能試験の結果

 − 業務の量及び種類の変化

 − 顧客からのフィードバック

 − 苦情

 − 改善のための提案

 − 品質管理活動,経営資源,職員の訓練など,その他の関係要因

 注記1  マネジメントレビューを行う典型的な周期は,12か月に1回である。

 注記2  結果は試験所・校正機関の企画システムに織り込むとともに,次年度の目的,達成目標及び行動計面を含めることが望ましい。

 注記3  マネジメントレビューは,定例的な経営会議における関連問題の検討を含む。

4.15.2  マネジメントレビューでの所見及びそれらから生じた処置を記録すること。管理主体は,それらの処置が適切,かつ,取決めによる期間内に実行されることを確実にすること。





5  技術的要求事項

5.1  一般

5.1.1  多くの要因が,試験所・校正機関によって実施された試験・校正の正確さ及び信頼性を決定する。

これらの要因には次の事項からの寄与が含まれる。

− 人間の要因(5.2)

− 施設及び環境条件(5.3)

− 試験・校正の方法及び方法の妥当性確認(5.4)

− 設備 (5.5)

− 測定のトレーサビリティ (5.6)

− サンプリング(5.7)

− 試験・校正品目の取扱い(5.8)

5.1.2  各要因が総合的な測定の不確かさに寄与する程度は,個々の試験(の種類)及び個々の校正(の種類)によってかなり異なる。試験所・校正機関は,試験・校正方法及び手順の開発において,要員の教育・訓練及び資格認定において,並びに使用する設備の選定及び校正において,これらの要因を考慮すること。

5.2  要員

5.2.1 試験所・校正機関の管理主体は,特定の設備の操作,試験又は校正の実施,結果の評価及び試験報告書並びに校正証明書への署名を行うすべての要員の力量があることを確実にすること。教育・訓練中の職員を使用するときは,適切な監督を行うこと。特定の業務を行う要員は,必要に応じて適切な教育,訓練,経験及び/又は技量の実証に基づいて資格付与されること。

 注記1  ある技術分野(例えば,非破壊試験)では,ある種の業務を実施する要員は,要員認証を保持する必要があるだろう。試験所・校正機関は,規定の要員認証に関する要求事項を満たす責任がある。要員認証に関する要求事項は,法令に含まれていたり,特定の技術分野の規格に含まれていたり,顧客から要求されたりすることがある。

 注記2  試験報告書に含まれる意見及び解釈に責任をもつ要員は,実施された試験に関する適切な資格付与,教育・訓練,経験及び一卜分な知識に加えて,更に次の知識及び理解をもつことが望ましい。

    − 試験された品目,材料,製品などの製造に用いられた技術に関する必要な知識,又はそれらが使用される方法若しくは使用を意図する方法,それらの使用中若しくは使用期間中に生じ得る欠陥又は劣化に関する必要な知識。

    − 法令及び規格に述べられている一般要求事項に関する知識。

    −その品目,材料,製品などの通常の用途について見られる逸脱の重大さに関する理解

5.2.2  試験所・校正機関の管理主体は,試験所・校正機関の要員の教育,訓練及び技量に関する目標を設定すること。試験所・校正機関は,教育・訓練のニ一ズを特定し,要員に教育・訓練を提供するための方針及び手順をもつこと。教育・訓練プログラムは,試験所・校正機関の現在の業務及び予期される業務に対して適切であること。実施された教育・訓練の処置の有効性を評価すること。

5.2.3  試験所・校正機関は,試験所・校正機関に雇用された要員又は試験所・校正機関と契約を結んだ要員を使用すること。契約によって追加した技術要員及び主要な役割の支援要員を使用する場合,試験所・校正機関は,それらの要員が監督下に置かれ,力量があり,試験所・校正機関のマネジメントシステムに従って業務を行うことを確実にすること。

5.2.4  試験所・校正機関は,試験・校正に関与する管理要員,技術要員及び主要な役割の支援要員に対する現行の職務の規定を維持すること.

 注記  職務の規定は,種々の方法で規定され得る。少なくとも,次の事項を規定することが望ましい。

   − 試験・校正の実施に関する責任

   − 試験・校正の計画立案及び結果の評価に関する責任

   −  意見及び解釈を報告する責任

   −  方法の変更及び開発並びに新規の方法の妥当性確認に関する責任

   −  専門知識及び経験

   −  資格付与及び教育・訓練プログラム

   − 管理上の責務

5.2.5  管理主体は,特定のタイプのサンプリング・試験・校正の実施,試験報告書及び校正証明書の発行,意見及び解釈の提供並びに特定のタイプの設備の操作を行うため,特定の要員に権限を与えること。試験所・校正機関は,契約による要員を含め,すべての技術要員に対し,該当する権限付与,力量,教育上及び職業上の資格付与,教育・訓練,技能及び経験に関する記録を維持すること。この情報は,いつでも利用できる状態におかれ,権限付与及び/又は力量確認の日付を含むこと。



5.3  施設及び環境条件

5.3.1  試験所・校正機関の試験・校正のための施設は,エネルギー源,照明,環境条件など(これらに限定されない。) を含め, 試験・校正の適正な実施を容易にするようなものにすること。

試験所・校正機関は,すべての測定の要求品質に対して環境条件が結果を無効にしたり悪影響を及ぼしたりしないことを確実にすること。サンプリング,試験又は校正が試験所・校正機関の恒久的な施設以外の場所で行われる場合には,特別の注意を払うこと。試験・校正の結果に影響する施設及び環境条件に関する技術的要求事項を文書化すること。

5.3.2  試験所・校正機関は,該当する仕様,方法及び手順の要求に応じて,又は環境条件が結果の品質に影響する場合,環境条件を監視し,制御し,記録すること。関係する技術的活動に合わせて,例えば,生物学的減菌状態,ほこり,電磁障害,放射,湿度,電力供給,温度及び音響・振動レベルなどに対して相応の注意を払うこと。環境条件が試験・校正の結果を危うくする場合には,試験・校正を中止すること。

5.3.3  両立不可能な活動が行われている隣接区域との間に効果的な分離を施すこと。混入汚染を防止する手段を講じること。

5.3.4  試験・校正の品質に影響する区域への立入り及び使用を管理すること。試験所・校正機関は,特有の状況に応じて管理の範囲・程度を定めること。

5.3.5  試験所・校正機関内の良好な整理・整とん・衛生を確実にするための手段を講じること。必要な場合には,特別の手順を準備すること。



5.4  試験・校正の方法及び方法の妥当性確認

5.4.1  一般

試験所・校正機関は,業務範囲内のすべての試験・校正について適切な方法及び手順を用いること。それらの方法には,試験・校正を行うべき品目のサンプリング,取扱い,輸送,保管及び準備が含まれ,また,適切な場合,測定の不確かさの推定及び試験・校正データの分析のための統計的手法が含まれる。

試験所・校正機関は,指示書なしでは試験・校正の結果が危ぶまれる場合には,すべての関連設備の使用及び操作並びに試験・校正を行う品目の取扱い及び準備について指示書をもつこと。試験所・校正機関の業務に関係するすべての指示書,規格,マニュアル及び参照データは最新の状態に維持し,要員がいつでも利用できる状態にしておくこと (4.3参照)。試験・校正方法からの逸脱は,その逸脱があらかじめ文書化され,技術的に正当な根拠が示され,正式に許可され,かつ,顧客によって受け入れられている場合にだけ生じるようにすること。

 注記  試験・校正の実施方法について十分,かつ,簡潔な情報を含む国際規格,地域規格若しくは国家規格又はその他の広く認められている仕様書が発行されていて,そのまま試験所・校正機関の実施要員が使用できるような方法で記述されている場合には,内部手順書として補足したり,書き直したりする必要はない。その方法の中の操作の選択又は詳細な補足のために,追加の文書を用意する必要があり得る。

5.4.2  方法の選定

試験所・校正機関は,サンプリングの方法を含め,顧客の二一ズを満たし,かつ,請け負う試験・校正に対して適切な試験・校正方法を使用すること。国際規格,地域規格又は国家規格として発行されている方法を優先的に使用すること。試験所・校正機関は,使用が不適切又は不可能な場合を除き,規格の最新版の使用を確実にすること。必要な場合には,規格の矛盾のない適用を確実にするため,詳細事項の追加によって規格を補足すること。

顧客が使用すべき方法を指定しない場合,試験所・校正機関は,国際規格,地域規格若しくは国家規格,定評ある技術機関の出版物,該当する科学文献若しくは定期刊行物として公表されている適切な方法,又は設備の製造者が指定する方法のいずれかを選定すること。試験所・校正機関が開発した方法又は採用した方法も,それらが意図する用途に適切であり,かつ,妥当性確認が行われている場合は,使用することができる。選定した方法を顧客に通知すること。試験所・校正機関は,規格に規定された方法を試験又は校正に導入する前に,自身がその方法を適切に実施できることを確認すること。規格に規定された方法が変更された場合には,再度確認すること。

顧客から提案された方法が不適切又は旧式と考えられる場合には,試験所・校正機関はその旨を顧客に通知すること。

5.4.3  試験所・校正機関が開発した方法

試験所・校正機関が自身の使用のために開発した試験・校正方法の導入は計画に基づいた活動であり,かつ,十分な経営資源をもち資格を付与された要員に割り当てること。

計画は開発の進行につれて更新し,すべての関係要員の間で効果的な情報交換を確実にすること。

5.4.4  規格外の方法

規格に規定された方法に含まれない方法を使用する必要がある場合,これらの方法は,顧客の同意に基づいて採用し,顧客の要求事項の明確な規定及び試験・校正の目的を含むこと。開発された方法は,使用前に適切に妥当性確認を行うこと。

 注記  新規の試験・校正方法については,試験・校正を実施する前に手順書を作成し,それには少なくとも次の情報を含めることが望ましい。

a) 適切な識別

b) 適用範囲

c) 試験又は校正を行うべき品目の種類(type)の記述

d) 決定すべきパラメータ又は量及び範囲

e) 装置及び設備並びにそれらの技術的機能に関する要求事項

f) 要求される参照標準及び標準物質

g) 要求される環境条件及び安定化に必要な期間

h) 次の事項を含む手順の記述

− 試験・校正品目の識別記号の表示,取扱い,輸送,保管及び準備

− 業務開始前に行うべきチェック

− 設備が適正に作動していることのチェック,並びに要求される場合,毎回の使用前の設備の校正及び調整

− 観測及び結果を記録する方法

− 遵守すべき何らかの安全対策

 i)承認・不承認に関する基準及び/又は要求事項

 j)記録すべきデータ並びに分析及び提示の方法

 k)不確かさ又は不確かさの推定に関する手順

5.4.5  方法の妥当性確認

5.4.5.1  妥当性確認とは,意図する特定の用途に対して個々の要求事項が満たされていることを調査によつて確認し,客観的な証拠を用意することである。

5.4.5.2  試験所・校正機関は,規格外の方法,試験所・校正機関が設計・開発した方法,意図された適用範囲外で使用する規格に規定された方法,並びに規格に規定された方法の拡張及び変更について,それらの方法が意図する用途に適することを確認するために妥当性確認を行うこと。妥当性確認は,当該適用対

象又は適用分野の二一ズを満たすために必要な程度まで幅広く行うこと。試験所・校正機関は,得られた結果,妥当性確認に用いた手順及びその方法が意図する用途に適するか否かの表明を記録すること。

 注記1  妥当性確認は,サンプリング,取扱い及び輸送の手順を含むことがある。

 注記2  方法の良否の確定に用いる手法は,次の事項のうちの一つ又はそれらの組合せであることが望ましい。

    − 参照標準又は標準物質を用いた校正

    − 他の方法で得られた結果との比較

    − 試験所間比較

    − 結果に影響する要因の系統的な評価

    − 方法の原理の科学的理解及び実際の経験に基づいた,結果の不確かさの評価

 注記3  妥当性が確認された規格外の方法を変更する場合は,そのような変更の影響を文書化し,適切ならば新規の妥当性確認を行うことが望ましい。

5.4.5.3  妥当性が確認された方法によって得られる値の範囲及び正確さ [例えば,結果の不確かさ,検出限界,方法の選択性,直線性,繰返し性及び/又は再現性の限界,外部影響に対する頑健性又は試料・試験対象のマトリックスからの干渉に対する共相関感度(cross-sensitivity)]は,意図する用途に対する評価において顧客の二一ズに適すること。

 注記1  妥当性確認は,要求爭項の明確化,方法の特性の確定,その方法によって要求事項が満たされるかどうかのチェック,及び有効性に関する表明を含む。

 注記2  方法の開発の進行につれて,顧客の二一ズが依然として満たされていることを検証するため,定期的な見直しを実施することが望ましい。開発計画の修正を必要とする要求事項の何らかの変更は,承認され,権限付与されることが望ましい。

 注記3  妥当性確認は,常にコスト,リスク及び技術的可能性のバランスによる。情報の不足によつて,値の範囲及び不確かさ(例えば,正確さ,検出限界,選択性,直線性,繰返し性,再現性,頑健性及び共相関感度)を簡略化された方法でしか示し得ない場合が多く存在する。

5.4.6 測定の不確かさの推定

5.4.6.1  校正機関又は自身の校正を実施する試験所は,すべての校正及びすべてのタイプの校正について測定の不確かさを推定する手順をもち,適用すること。

5.4.6.2  試験所は,測定の不確かさを推定する手順をもち,適用すること。ある場合には,試験方法の性質から厳密で計量学的及び統計学的に有効な測定の不確かさの計算ができないことがある。このような場合には,試験所は少なくとも不確かさのすべての要因の特定を試み,合理的な推定を行い,報告の形態が

不確かさについて誤った印象を与えないことを確実にすること。合理的な推定は,方法の実施(performance)に関する知識及び測定の範囲(scope)に基づくものであること。例えば,以前の経験又は妥当性確認のデータを活用したものであること。

 注記1 測定の不確かさの推定において必要とされる厳密さの程度は,次のような要因に依存する。

    − 試験方法の要求事項

    − 顧客の要求事項

    − 仕様への適合性を決定する根拠としての狭い限界値の存在

 注記2  広く認められた試験方法が測定の不確かさの主要な要因の値に限界を定め,計算結果の表現形式を規定している場合には,試験所はその試験方法及び報告方法の指示に従うことによつてこの項目を満足すると考えられる (5.10参照)。

5.4.6.3  測定の不確かさを推定する場合には,当該状況下で重要なすべての不確かさの成分を適切な分析方法を用いて考慮すること。

 注記1  不確かさに寄与する源には,用いた参照標準及び標準物質,用いた方法及び設備,環境条件,試験・校正される品目の性質及び状態並びに試験・校正実施者が含まれるが,必ずしもこれらに限定されない。

 注記2  予想される試験・校正品目の長期の挙動は,通常,測定の不確かさを推定する場合に考慮に入れない。

 注記3  この間題について更に情報を得るには,JIS Z 8402及び''測定の不確かさの表現の指針(GUM)"を参照する (参考文献参照)。


5.4.7  データの管理

5.4.7.1  計算及びデータ転記は,系統的な方法で適切なチェックを行うこと。

5.4.7.2  コンピュータ又は自動設備を試験・校正データの集録,処理,記録,報告,保管又は検索に使用する場合には,試験所・校正機関は次の事項を確実にすること。

a) 使用者が開発したコンピュータ・ソフトウェアは,十分な詳しさで文書化され,用途に対して十分であることが適切に妥当性確認されている。

b) データを保護するための手順が確立され,実施されている。この手順は,データ入力又は収集,データ保存,データ伝達及びデータ処理の完全性並びに機密保持を含まなければならないが,これらに限定されない。

c) コンピュータ及び自動設備は,適正な機能を確保するように保守管理され,試験・校正データの完全性を維持するために必要な環境条件及び運転条件が与えられている。

 注記 一般的に使用されている市販の既製品のソフトウェア(例えば,ワードプロセッサ,データベース及び統計プログラム)は,設計上の適用範囲内においては,十分に妥当性確認されたものと考えてよい。しかし,試験所・校正機関におけるソフトウェァの構成(configuration)・修正は,5.4.7.2a)に規定されている妥当性確認を行うことが望ましい。



5.5  設備

5.5.1  試験所・校正機関は,試験・校正の適正な実施(サンプリング,試験・校正品目の準備,試験・校正データの処理及び分析を含む。)のために要求されるすべてのサンプリング,測定及び試験の設備の各品目を保有すること。試験所・校正機関が恒久的に管理している設備以外の設備を使用する必要がある場合には,この規格の要求事項が満たされていることを確実にすること。

5.5.2  試験,校正及びサンプリングに使用する設備並びにそのソフトウェァは,要求される正確さを達成する能力をもち,かつ,当該試験・校正に適用される仕様に適合すること。機器の特性が結果に重大な影響をもつ場合は,機器の主要な量又は値に対する校正プログラムを確立すること。設備(サンプリング用の設備を含む。) は, 業務使用に導入する前に, それらが試験所・校正機関の仕様の要求事項を満たし,かつ,該当する標準仕様に適合することを確実にするために校正又はチェックを行うこと。それらは,使用前にもチェック及び/又は校正を行うこと (5.6参照)。

5.5.3  設備は,権限を付与された要員が操作すること。(設備の製造業者が用意した該当する使用説明書を含め)設備の使用及び保守管理に関する最新の指示書を,試験所・校正機関の担当要員がいつでも利用できる状態にしておくこと。

5.5.4  試験及び校正に使用され結果にとって重要な設備の品目及びそのソフトウェァは,実行可能な場合,それぞれ個々に識別しておくこと。

5.5.5  実施された試験・校正にとっての重要な設備の個々の品目及びそのソフトウェアの記録を維持すること。記録には少なくとも次の事項を含めること。

a) 設備の品目及びそのソフトウェアの個体識別

b) 製造業者の名称,型式の識別,及び一連番号又はその他の識別

c) 設備が仕様に適合することのチェック (5.5.2参照)

d) 適切な場合,現在の所在場所

e) 利用できるときは製造業者の指示書,又はその所在場所の参照

f) すべての校正の日付,結果及び報告書と証明書のコピー,調整,受入れ基準,並びに次回校正の期限

g) 現在までに行われた保守管理及び適切な場合は保守計面

h) 設備の損傷,機能不良,改造又は修理

5.5.6  試験所・校正機関は,測定設備が適正に機能することを確保し,汚染又は劣化を防止するため,測定設備の安全な取扱い,輸送,保管,使用及び保守計画の手順をもつこと。

 注記  測定設備を試験所・校正機関の恒久施設の外で試験,校正又はサンプリングに使用する場合には,追加の手順が必要な場合がある。

5.5.7  過負荷若しくは誤った取扱いを受けた設備,疑わしい結果を生じる設備,又は欠陥をもつ若しくは規定の限界外と認められる設備は,業務使用を停止すること。その設備は,それが修埋されて正常に機能することが校正又は試験によって示されるまで,使用を防止するため隔離するか,業務使用停止中である

ことを示す明りょうなラベル付け又はマーク付けを行うこと。試験所・校正機関は,この欠陥又は規定の限界からの逸脱が以前に行った試験・校正に及ぼした影響を調査し,"不適合業務の管理"の手順を開始すること (4.9参照)。

5.5.8  実行可能な場合,試験所・校正機関の管理下にあって校正を必要とするすべての設備に対し,最後に校正された日付及び再校正を行うべき期日又は有効期間満了の基準を含め,校正の状態を示すためのラベル付け,コード付け又はその他の識別を施すこと。

5.5.9  いかなる理由であろうと設備が試験所・校正機関の直接の管理下から離脱した場合には,試験所・校正機関は,その設備が業務使用に戻される前に機能及び校正状態がチェックされ,満足であると認められたことを確実にすること。

5.5.10  設備の校正状態についての信頼を維持するために中間チェックが必要な場合には,これらのチェックは規定された手順に従って実施すること。

5.5.11 校正によって一連の補正因子が必要となった場合には,試験所・校正機関は複成物(例えば,コンピュータ・ソフトウェア中の)を正しく更新することを確実にする手順をもつこと。

5.5.12  ハードウェア及びソフトウェアの両者を含め,試験・校正設備は,試験・校正結果を無効にするおそれのある調節を受けないように防護すること。

5.6  測定のトレーサビリティ

5.6.1  一般

試験・校正又はサンプリングの結果の正確さ若しくは有効性に重大な影響をもつすべての試験・校正用設備は,補助的測定用(例えば,環境条件の測定用)の設備も含め,業務使用に導入する前に校正すること。試験所・校正機関は,自身の設備の校正のための確立されたプログラム及び手順をもつこと。

 注記  このようなプログラムは,測定標準,測定標準として用いる標準物質,並びに試験及び校正に用いる測定設備及び試験設備の選定,使用,校正,チェック,管理並びに保守のためのシステムを含むことが望ましい。

5.6.2  特定要求事項

5.6.2.1  校正

5.6.2.1.1  校正機関においては,設備の校正のためのプログラムは,その校正機関が行った校正及び測定が国際単位系(以下,SIという。) に対してトレーサブルであることを確実にするように設計し運用すること。

校正機関は,自身の測定標準及び測定機器のSIに対するトレーサビリティを,それらの標準及び機器と,該当するSI単位の一次標準とをつなぐ切れ目のない校正又は比較の連鎖によって確立している。 SI単位へのつながりは,国家計量標準への参照によって達成されるであろう。国家計量標準は,SI単位の一次実現又は基礎物理定数に基づくSI単位の合意された代表値による一次標準であるか,又は他国の国家計量機関によって校正された二次標準であってもよい。外部の校正サービスを利用する場合には,業務能力,測定能力及びトレーサビリティを実証できる校正機関の校正サービスを利用することによって測定のトレーサビリティを確実にすること。これらの機関が発行する校正証明書は,測定の不確かさ及び/又は特定された計量仕様への適合性の表明を含め,測定結果をもつこと (5.10.4.2を参照)。

 注記1  この規格の要求事項を満たす校正機関は能力があるとみなされる。その校正に関してこの規格に基づく認定を受けた校正機関から発行される認定ロゴ付きの校正証明書は,報告された校正データのトレーサビリティの十分な証拠である。

 注記2   SI単位へのトレーサビリティは,適切な一次標準(VIM:1993,6.4参照)を参照するか,又は該当するSl単位による値が知られており国際度量衡総会(CGPM)及び国際度量衡委員会(CIPM)によって推奨されている白然定数を参照することによって達成できる。

 注記3  白身で一次標準又は基礎物理定数に基づくSI単位の代表値を維持する校正機関は,これらの

     標準が直接的又は間接的に国家計量機関の同種の標準と比較された後においてだけ,SIへのトレーサビリティを主張できる。

注記4  "特定された計量仕様"という用語は,校正証明書にその仕様を含めるか又は仕様の明確な引用を示すことによって,測定がどの仕様と比較されたかが校正証明書によって明確にされなげればならないことを意味している。

 注記5  トレーサビリティに関連して"国際標準"又は"国家標準"という用語が使われる場合,これらの標準はSI単位を実現するための一次標準の特性を満たすものとみなしている。

 注記6  国家計量標準へのトレーサビリティは,必ずしもその校正機関が所在する国の国家計量機関の利用を必要としない。

 注記7  校正機関が白国以外の国家計量機関からトレーサビリティを得ることを望む又は必要とする場合には,その校正機関は,直接又は地域グループを通して国際度量衡局(BIPM)の活動に積極的に参加している国家計量機関を選ぶことが望ましい。

 注記8  切れ目のない校正又は比較の連鎖は,トレーサビリティを実証できる別々の校正機関で行われた幾つかの段階によって達成されることもある。

5.6.2.1.2  現状では,厳密にSI単位によって行うことができないある種の校正が存在する。この場合には,校正は次のような適切な測定標準へのトレーサビリティを確立することによって測定への信頼を与えること。

−  物質の信頼できる物理的又は化学的特性を与えるために能力のある供給者から供給された認証標準物質の使用

− 明確に記述され,すべての関係者によって合意されている規定された方法及び/又は合意標準の使用。

可能な場合,適切な試験所間比較プログラムへの参加が要求される。

5.6.2.2  試験

5.6.2.2.1  試験所においては,試験結果の不確かさ全体に対する校正の寄与分がごくわずかであると確認されていない限り,測定設備及び測定機能を利用する試験設備に対して5.6.2.1に規定する要求事項が適用される。この状況において,試験所は,使用する設備が必要とされる測定の不確かさを与え得ることを確実にすること。

 注記 5.6.2.1の要求事項にどの程度まで従うべきかは,全体の不確かさに対する校正の不確かさの寄与の割合に依存している。校正が主要な要因である場合には要求事項に厳密に従うことが望ましい。

5.6.2.2.2  SI単位へのトレーサビリティが不可能な場合及び/又は当てはまらない場合には,校正機関に対する要求事項(5.6.2.1.2参照)と同様に,例えば,認証標準物質,合意された方法及び/又は合意標準へのトレーサビリティが要求される。



5.6.3  参照標準及び標準物質

5.6.3.1  参照標準

試験所・校正機関は,自身の参照標準の校正のためのプログラム及び手順をもつこと。参照標準は,5.6.2.1に規定されたトレーサビリティを与え得る機関によって校正されること。試験所・校正機関が保有する参照標準は校正の目的だけに使用し,参照標準としての機能が無効にならないことを示し得る場合を除き,

その他の目的には使用しないこと。参照標準は,いかなる調整の前にも後にも校正すること。

5.6.3.2  標準物質

標準物質は,可能な場合,SI単位又は認証標準物質に対してトレーサブルであること。内部(internal)標準物質は,技術的及び経済的に実行可能な程度までチェックすること。

5.6.3.3  中間チェック

参照標準,一次標準,仲介標準又は実用標準,及び標準物質の校正状態の信頼を維持するために必要な中間チェックは,規定された手順及びスケジュールに従って実施すること。

5.6.3.4  輸送及び保管

試験所・校正機関は,参照標準及び標準物質の汚染又は劣化を防止するため,及びそれらの完全性を保護するため,参照標準及び標準物質の安全な取扱い,輸送,保管並びに使用のための手順をもつこと。

 注記 参照標準及び標準物質を試験,校正又はサンプリングのために試験所・校正機関の恒久施設以外の場所で使用する揚合には,追加の手順が必要な場合がある。



5.7  サンプリング

5.7.1  試験所・校正機関は,試験・校正を行う予定の物質,材料又は製品のサンプリングを実施する場合,サンプリング計画及びサンプリング手順をもつこと。サンプリング計画及びサンプリング手順は,サンプリングが行われる場所で利用できること。サンプリング計画は,合理的である限り,適切な統計的方法に

基づくこと。サンプリングのプロセスは,試験・校正結果の有効性を確実にするために管理すべき要因を記述すること。

 注記1  サンプリングとは,試験又は校正のために全体を代表するサンプルを用意するため,物質,材料又は製品の一部分を取り出すための規定された手順である。サンプリングは,物質,材料又は製品の試験・校正に対して適用される仕様によって要求されることがある。ある場合(例えば,法廷用の分析)では,サンプルは規定された代表性をもたないことがあり,入手可能性によって決定されることがある。

 注記2  サンプリング手順は,要求される情報を得るために,物質,材料又は製品からのサンプルの選定,サンプリング計画,抽出及び準備を記述することが望ましい。

5.7.2  顧客が文書化されたサンプリング手順からの逸脱,追加又は除外を要求する場合には,これらを適切なサンプリング・データとともに詳細に記録し,試験・校正結果を包含するすべての文書に記入し,関係要員に連絡すること。

5.7.3  試験所・校正機関は,請け負った試験・校正の一部を構成するサンプリングに関係する該当データ及び操作を記録する手順をもつこと。これらの記録は,用いたサンプリング手順,サンプリング実施者の識別,環境条件(該当する場合)及び必要に応じてサンプリング場所を特定するための図面又はその他の同等な手段,並びに適切な場合,サンプリング手順の基準とされた統計手法を含むこと。



5.8  試験・校正品目の取扱い

5.8.1  試験所・校正機関は,試験・校正品目の完全性並びに試験所・校正機関及び顧客の利益を保護するために必要なすべての規定を含め,試験・校正品目の輸送,受領,取扱い,保護,保管,保留及び/又は処分のための手順をもつこと。

5.8.2  試験所・校正機関は,試験・校正品目を識別するためのシステムをもつこと。この識別は,当該品目が試験所・校正機関において有効である期間の全体を通じて維持されていること。識別システムは,品目の物理的な混同,又は記録若しくはその他の文書で引用する際の混同が起こり得ないことを確保するよ

うに設計し運用すること。識別システムは,適切ならば品目のグループの小分類並びに品目の試験所・校正機関内での輸送及び試験所・校正機関からの輸送を含むこと。

5.8.3  試験・校正品目を受領した際,何らかの異常,又は正常状態からの,若しくは該当の試験・校正方法に規定された状態からの逸脱を記録すること。品目の試験・校正に対する適性に何らかの疑義がある場合,品目が添えられた記述に適合しない場合,又は要求される試験若しくは校正が十分詳細に規定されていない場合には,試験所・校正機関は,業務を進める前にさらなる指示を求めて顧客に相談し,討論の内容を記録すること。

5.8.4  試験所・校正機関は,保管,取扱い及び準備の間に試験・校正品目が劣化,損失又は損傷を受けることを防止するための手順及び適切な施設をもつこと。この場合,試験・校正品目に添えられた取扱いの指示に従うこと。品目が規定された環境条件の下での保管又は条件付けを必要とする場合には,これらの

条件を維持し,監視し,記録すること。試験・校正品目又はその一部分を,セキュリティの下に置かなければならない場合には,試験所・校正機関は,そのセキュリティ対象品目又はその一部分の状態及び完全性を保護するための,保管及びセキュリティに関する取決めをもつこと。

 注記1  試験品目が試験後に使用状態に復帰しなければならない場合には,取扱い,試験又は保管,待機のプロセスにおいて損害又は損傷を受けないことを確実にするための特別の注意が要求される。

 注記2  試験・校正結果に影響し得るサンプリング因子に関する情報を含め,サンプリング手順並びにサンプルの保管及び輸送に関する情報を,サンプルの取出し及び輸送に責任をもつ者に提供することが望ましい。

 注記3  試験・校正品目をセキュリティの下に置く理由は,記録のため,安全性若しくは高価値のため,又は後日に補足的な試験若しくは校正の実施を可能にするためであり得る。



5.9  試験・校正結果の品質の保証

5.9.1  試験所・校正機関は,請け負った試験・校正の有効性の監視のため品質管理手順をもつこと。結果のデータは,傾向が検出できるような方法で記録し,実行可能な場合,結果の検討に統計的手法を適用すること。この監視は,計画し見直すこと。次の事項を含むのがよいが,これらに限定されない。

a) 認証標準物質の定期的な使用及び/又は二次標準物質を用いた内部品質管理

b) 試験所間比較又は技能試験プログラムへの参加

c) 同じ方法又は異なる方法を用いた試験又は校正の反復

d) 保留された品目の再試験又は再校正

e) 一つの品目の異なる特性に関する結果の相関

注記  選択された方法は,請け負った業務の種類及び量に対して適切であることが望ましい。

5.9.2  品質管理データを分析すること。その結果,品質管理データが事前に規定した処置基準を外れることが判明した場合は,問題を是正し不正確な結果が報告されることを防止するため,規定された処置を行うこと。



5.10  結果の報告

5.10.1  一般

試験所・校正機関が実施した個々の試験・校正の結果又は一連の試験・校正の結果は,正確に,明りょうに,あいまい(曖味)でなく,客観的に,及び試験・校正方法に特定の指示があれば,それに従って報告すること。

結果は,通常,試験報告書又は校正証明書(注記1参照)の形で報告し,顧客から要望され,かつ,試験・校正結果の解釈に必要なすべての情報,及び用いた試験・校正方法が要求するすべての情報を含めること。この情報は,通常,5.10.2,及び5.10.3又は5.IO.4が要求するものである。

試験・校正が内部の顧客のために行われる場合,又は顧客との間に書面による合意がある場合には,簡略化された方法で結果を報告してもよい。5.10.2〜5.10.4に規定されているが顧客に報告されなかった何らかの情報は,試験・校正を実施した試験所・校正機関においていつでも利用できること。

 注記1  試験報告書及び校正証明書は,ときにはそれぞれ試験証明書及び校正報告書とも呼ばれる。

 注記2  試験報告書又は校正証明書は,この規格の要求事項が満たされている限り,ハードコピーとして又は電子的データ転送によって発行してよい。

5.10.2  試験報告書及び校正証明書

試験所・校正機関が正当な除外の理由をもつ場合を除き,個々の試験報告書又は校正証明書は少なくとも次の情報を含むこと。

a) 題目(例えば,"試験報告書"又は"校正証明書")

b) 試験所・校正機関の名称及び所在地,並びに試験・校正がその所在地以外で行われた場合はその場所

c) 試験報告書又は校正証明書の識別(例えば,一連番号),各ページーヒにそのページが試験報告書又は校正証明書の一一部であると確実に認められるための識別,及び試験報告書又は校正証明書の終わりを示す明りょうな識別

d) 顧客の名称及び所在地

e) 用いた方法の識別

f) 試験・校正された品目の記述,状態及び明確な識別

g) 試験・校正を実施した日付,並びに結果の有効性及び利用にとって重要な場合の試験・校正品目の受領の日付

h) サンプリング計面及び手順が結果の有効性又は利用に関係する場合には,試験所・校正機関又はその他の機関が用いたサンプリング計画及び手順の引用

i) 試験・校正結果。適切な場合,測定単位を伴う。

j) 試験報告書又は校正証明書に発行権限をもつ人物の氏名,職能及び署名又は同等の識別

k) 該当する場合,結果がその試験・校正品目だけに関するものであるという旨の表明

 注記1  試験報告書及び校正証明書のハードコピーは,ページ番号及び全ページ数を表示することが望ましい。

 注記2  試験所・校正機関の書面による承認がない限り,試験報告書又は校正証明書の-一部分だけを複製してはならないと規定する試験所・校正機関の表明を含めることが推奨される。



5.10.3  試験報告書

5.10.3.1  5.10.2の要求事項に加え,試験結果の解釈のために必要な場合,試験報告書は次の事項を含むこと。

a) 試験方法からの逸脱,追加又は除外,及び環境条件など特定の試験条件に関する情報

b) 該当する場合,要求事項及び/又は仕様に対する適合・不適合の表明

c) 適用可能な場合,推定された測定の不確かさに関する表明。試験報告書中の不確かさに関する情報は,試験結果の有効性又は利用に関係する場合,顧客の指示によって要求される場合,若しくは不確かさが仕様の限界への適合性に影響する場合に必要とされる。

d) 適切,かつ,必要な場合,意見及び解釈(5.10.5参照)

e) 特定の方法,顧客又は顧客のグループによって要求されることがある追加の情報

5.10.3.2  5.10.2及び5.10.3.1の要求事項に加え,試験結果の解釈に必要な場合,サンプリングの結果を含む試験報告書は,次の事項を含むこと。

a) サンプリングの実施日

b) サンプリングされた物質,材料又は製品のあいまいでない識別(適切な場合,製造業者の名称,指定されたモデル又は型式,及び一-連番号)

c) 何らかの図面,スケッチ又は写真を含め,サンプリングの場所

d) 用いたサンプリング計画及び手順の引用、

e) 試験結某の解釈に影響するおそれがあるサンプリング中の環境条件の詳細

f)  サンプリングの方法又は手順に関する規格若しくはその他の仕様,及び関係する仕様からの逸脱,追加又は除外



5.10.4  校正証明書

5.10.4.1  5.10.2の要求事項に加え,校正結果の解釈に必要な場合,校正証明書は次の事項を含むこと。

a) 測定結果に影響をもつ,校正が実施された際の条件(例えば,環境条件)

b) 測定の不確かさ及び/又は特定された計量仕様若しくはその項目に対する適合性の表明

c) 測定がトレーサブルであることの証拠(5.6.2.1.1,注記2参照)

5.IO.4.2  校正証明書は,数量及び機能試験の結果だけに関するものとすること。仕様に対する適合性が表明さ

れる場合には,この表明は,仕様のどの項目に適合又は不適合であるかを特定的に示すこと。

測定結果及び附帯する不確かさを省略した形で仕様への適合性を表明する場合には,校正機関は,これらの結果を記録し,将来起こり得る引用に備えて維持すること。

適合性の表明を行う場合には,測定の不確かさを考慮すること。

5.10.4.3  校正すべき機器が調整又は修理された場合,入手可能ならば調整又は修理の前及び後の校正結果を報告すること。

5.10. 4.4  顧客との合意がある場合を除き,校正証明書(又は校正ラベル)は校正周期に関する推奨を含んではならない。この要求事項は,法令の規定によって置き換えられることがある。






5.10.5  意見及び解釈

意見及び解釈を含める場合には,試験所は,意見及び解釈が形成された根拠を文書化すること。意見及び解釈は,試験報告書においてその旨を明確に表示すること。

 注記1  意見及び解釈を,JIS Q 17020及びJIS Q OO65が意図している検査及び製品認証と混同しないことが望ましい。

 注記2  試験報告書に含まれる意見及び解釈は,次の事項を含むことがあるが,これらに限定されない。

    − 要求事項に対する結果の適合・不適合の表明に関する意見

    − 契約上の要求辜項の充足

    − 結果の使用力法に関する勧告

    − 改善のために用いるべき指斜

 注記3  多くの場合,意見及ひ解釈は顧客との直接対話で伝えることが適切であろう。そのような対話は書き留めておくことが望ましい。



5.10.6  下請負契約者から得た試験・校正結果

試験報告書が下請負契約者によって実施された試験の結果を含む場合には,これらの結果を明りょうに識別すること。下請負契約者は,書面又は電子的手段で結果を報告すること。

校正を下請負契約した場合には,その業務を実施した機関は,契約主である試験所・校正機関に対して校正証明書を発行すること。

5.10.7  電子的手段による結果の伝送

試験・校正結果を,電話,テレックス,ファクシミリ又はその他の電子的若しくは電磁的手段で伝送する場合には,この規格の要求事項を満たしていること (5.4.7を参照)。



5.IO.8  報告書及び証明書の書式

書式は,実施する各タイプの試験・校正に適するように,かつ,誤解又は誤用の可能性を最小化するように設計すること。

 注記1  特に試験・校正データの体裁及び読者の理解しやすさに関して,試験報告書又は校正証明書のレイアウトに注意を払うことが望ましい。

 注記2  可能な限り,表題を標準化することが望ましい



5.10.9  試験報告書及び校正証明書の修正

発行後における試験報告書又は校正証明書への実質的な修正は,"試験報告書(又は校正証明書),一連番号…(又は他の識別)に対する補足"若しくは同等の文言による表明を含む追加文書,又はデータ転送という形態によってだけ行うこと。

そのような修正は,この規格のすべての要求事項を満たすこと。

完全な新規の試験報告書又は校正証明書を発行することが必要な場合には,この新規の試験報告書・校正証明書に独白の識別を与え,それが置き換わる元の試験報告書・校正証明書の引用を含めること。








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