ISO17025概念
基本的に、試験結果の測定の不確かさに対する知識は、試験所、クライアントなど、比較
の目的のためにこれらの結果を使っているすべての団体にとって重要である。
優秀な試験所は、(彼・それ) らの試験方法の性能および結果に付きまとう不確かさにつ
いて認知している。測 定 の 不 確 か さ は 、 結 果 あ る い は 試 験方 法 の 品 質 に と っ て 、 非 常 に
重要な尺度である。その他の尺度としては再現性、繰り返し性、安定性、選択性である。
クライアントは試験所のサービスを可能な限り有効利用すべきである。 認定された試験
事業者は、クライアントと協力して行うための適切な手法を開発した。状況に拠って、ク
ライアントは次のような事柄に興味を持つ。
− 結 果 が ど れ ぐ ら い 信 頼 性 が 高 い か 、 そ し て そ れ らの 不 確 か さ に つ い て の 陳 述 に よ っ て
補完されることができるかどうか
−テストされた製品について、何の確実性をもって、適合していると陳述されるかを知る
こと。
− テ ス ト 報 告 が ク ラ イ ア ン ト に と っ て 、 実 際 に 正 しく 、 有 用 で 、 そ し て 包 括 的 で あ る か
否か。
測定の不確かさの報告は、不確実性の概念に親しみのないクライアントや公共の権威に
とっては、懸念材料であるかもしれない。 不確かさの受容できるレベルは、その決定が
クライアントと相談し一緒に達せられたという、目的との適合性を元に決められなければ
ならない。時 に は 大 き な 不 確 か さ が 受 容 で き る か も し れな い し 、 小 さ い 不 確 か さ が 必 要
とされる時もある。
試験における測定の不確かさの概念に対する理解は、近年かなり変化した。 ISO/IEC
17025は、測定の不確かさの見積に関する詳細な必要条件と、それがテスト報告でど
のように述べられるべきかを規定している。
本書は、現在の最先端理解を考慮に入れてどのように測定の不確かさの概念が導入される
べきであるか記述している。 ISO/IEC 1 7 0 2 5 を実施する間、適当な部門において特
定のガイダンスが必要とされるであろうことは悟られる。し か し な がら 、 異 な っ た 学 問
間、例えば、産業部門と経済の間で試験する場合、測定の不確かさの適用の原則が調和す
ることが、主要な目的になるべきである。
2. ISO/IEC17025における不確かさの測定
ISO/IEC 17025は、以前のISO/IEC ガイド2 5 より、より詳しい測定の不確かさに
ついての情報を提供している。 そして試験における測定の不確かさを見積もることに対
して、いろいろなアプローチ法を提供している。
− 試験所は適切な評価方法を使わなければならない。
− 測 定 の 不 確 か さ に 影 響 を 与 え る こ と が 可 能 な す べて の 要 素 が 考 慮 さ れ な け れ ば な
らない。
(少なくとも、発生源を識別する試みを行い、そしてもし可能であるならそれらを
推測させられなくてはならない)
− 既 存 の 方 法 の 知 識 に 基 づ い た 合 理 的 な 見 積 も り がさ れ る べ き で あ る (例えば. 承認
データ)
− 不 確 か さ の 主 要 な 発 生 源 の 限 界 を 指 定 し て い る 広く 認 識 さ れ た 方 法 は 、 試 験 所 の
特別な行動を必要としない。
− 方法と測定範囲に関する蓄積された経験が、基礎の役をするかもしれない。
−常に度量衡的に厳格で、統計学的に効力がある計算を使う必要があるというわけで
はない。
3.定義
度量衡学における基礎的で一般的な言葉の国際的ボキャブラリーによると、測定の不確か
さは、測定結果と結び付けられるパラメータであり、合理的にmeasurand に帰すことが
できる値の分散として特徴づけられる。こ の パ ラ メ ー タ は 標 準 偏差 、 あ る い は あ る 信 頼
限界を示している別の間隔の部分ということができる。
ただ1つの測定だけではなく、テストの全体的な結果を考慮することが重要である。この
場合、測定の不確かさは試験のすべての構成要素を含んでいる。そ の 要 素の 中 に は 、 一
連の測定結果の統計上の広がりを解釈することによって得られるものや、補足的な方法
(サンプリング計画、経験)から導き出されるものもある。
試験結果は、真の値に最も近い近似であるべきである。 統計上の任意性や組織的な要因
が、試験結果の測定の不確かさに貢献する。 もし可能であるなら、例えば訂正要因を使
うことによって、後者(組織的要因)は排除されるべきである。
4.測定の不確かさに寄与する要因
測定の全体的な不確かさに寄与するかもしれない様々な要素について、考慮するべきであ
る。以下にいくつかの例を挙げる。
1. measurand の定義
2.サンプリング
3.サンプルの輸送、保管、取り扱い
4.サンプルの準備
5.環境条件および測定条件
6.テストを実行している人員
7.テストプロシージャの相違
8.測定道具
9.目盛り測定標準あるいはリファレンス材料
10.測定に関連したソフトウェアそして/あるいは一般的に方法
11.組織的な効果のために測定結果の訂正から生じている不確かさ
5.不確かさの概念の実行に関する方針
試験手順及び/ あるいは試験結果を互いに比較する場合、あるいは仕様書に照らし合わせる
場合、測定の不確かさは考慮に入れられなければならない。 測定の不確かさの概念を理
解することは、目的に適したテスト方法を選択するために重要である。 測定の全体的な
不確かさは所定の必要条件と一貫するべきである。 試験方法に関する経済的局面は常に
考慮に入れられなければならない。
ISO/IEC 1 7 0 2 5 によれば、試験事業者は、方法によって指定されるところの、クラ
イアントによって要求されるところの、そして/あるいは結果の解釈が不確かさの知識の
欠如によって妥協することができるところの不確かさの見積について報告しなくてはなら
ない。こ れ は 少 な く と も 、 試 験 結 果 を そ の 他 の 試 験 結果 や 仕 様 書 の よ う な 他 の 数 値 と 比
較しなければならないケースであるべきである。 いずれにしても、試験所は、測定に関
する不確かさを報告されるか否か知るべきである。
一般的規則として、測定の不確かさの概念の実行はISO/IEC 1 7 0 2 5に一致して行わ
れるべきである。 ILAC は、測定の不確かさを適応することが難しい専門的分野について
はそれを例外と認め、 ILAC はそれらの分野のために指導書類や成功例の開発を促進・支
援するであろう。
将来、妥当性と必要性が共通の習慣となる場合、ILAC は試験報告における測定の不確か
さについての陳述を考慮している。
( ISO / IEC 17025 5.1 0.3.1cを念頭におく)
いくつかの試験は純粋に定性的であり、このような場合、測定の不確かさがどのように適
用されるかについては考慮が必要である。1つのアプローチとしては、falsepositive あ
るいはfalse negative の結果の確立を見積もることである。 質的な結果において不確か
さを概算することの問題には、さらなる指導が必要とされる。 ILAC としては、第一歩
として、定量的な試験結果に測定の不確かさの概念を導入することに集中する。
6.実行に関する指導
測定の不確実性の概念の実行は、標準の実行と一致していなければならない。
それを始めるには次の基本的な要点について合意することが必要である。
1. 測定の不確実性の記述には、比較の目的のための十分なインフォメーションを含ん
でいるべきである。
2. GUM と ISO/IEC 1 7 0 2 5 が基本的なドキュメントを形成する、しかし特定の
解釈のセクタが必要とされるかもしれない
3. 今のところ、定量的な試験における測定の不確かさだけを考慮に入れる。
定性的な試験の結果については、その手法は科学学界が開発しなければならない。
4. 基本的な要求事項は、全ての不確かさの見積か、あるいは、複合された不確かさの
大きさきさとそれの大きさを見積もる企てによってなされる主要な要素の特定であ
るべきである。
5. 測定の不確かさを概算するための基礎には、既存の知識を使用する。既存の実験
データには品質管理図、有効性、ラウンドロビン試験、技能試験、CRM, ハンド
ブックなどが必要とされる。
6. 試験方法を使用する場合、以下の3件がある;
● 不確かさの評価ガイダンスを含む標準化されたテスト方法を使用する場合、
試験事業者は、基準(standard)に示されている不確かさの評価手順に従う以上
のことは期待されていない。
● 基準に典型的な測定の不確かさが示されている場合、もし試験事業者が試験
方法で完全な適合を示すことができるならば、彼らはこの形態を引用するこ
とが許される。
● 基準が暗にテスト結果の測定の不確かさを含んでいる場合、それ以上のアク
ションは必要ない。試験所は、それに注意を留めること以上のことをするべ
きではない、そして基準に示されている不確実性に関係する情報に適合する。
つまり、不確かさを見積もるための適合した手法を実行する。テスト方法を
規定している基準は、不確かさの見積もり及び陳述に関して再検討され、基
準を扱う組織によってそれ相応に修正されるべきである。
7. 不確かさの見積もりで必要とされる深さは、さまざまな専門的フィールドによっ
て異なっているかもしれない。 以下の要因を考慮に入れるべきである。
● 常識
● 結果(決意の適切さ)に対する測定の不確実の影響力
● 適切さ
● 測定の不確かさの決定における厳密さの分類
8. ある特定のケースでは、ただ再現性を報告するだけで十分であり得る。
9. 測定の不確かさの概算が限定されているとき、不確かさの報告はどれもこれを明
らかにするべきである
10. すでに有用なガイドが存在する場合は、新しいガイドを開発すべきではない。
文献目録:
International Vocabulary of Basic and General Terms in Metrology(VIM )
第2版1993、 ISBN 9 2-6 7-10175 - 1
測定での不確実の表現への案内書:1993( 1995 年改正)
ISBN 9 2-6 7-10188 - 9
ISO / IEC 17025:1999 General requirements for the competence oftesting and
calibration laboratories
ISO 5 7 2 5 ( パート1 の6 ) : 1994 Accuracy (trueness andprecision) of
measurement methods and results( n.b パート5は1998である)
QUAM:2000.P1, Quantifying Uncertainty in Analytical Measurement,
EURACHEM/CITAC Guide