ISO17025 マニュアル コンサル セミナーアイソ



品質マニュアル
32,400円(税込)

品質・技術管理規定
68,000円(税抜)

校正手順書 
58,000円(税抜)

記録様式一式 
28,000円(税抜)

全一括申込みの場合には,
150,000円(税抜)

内部監査チェックリスト
30000円税別

測定の不確かさの手順書
50000円税別

コンサルタント
360万(1年半)

不確かさ




近年,国際レベルでの情報化社会のインフラ(infrastructure)の整備が進み,国家間の商品流通の活性化に伴って,
地球規模の経済的ボーダーレス化の広がりを強く感じるようになった。
ISO(国際標準化機構)のISO 9000シリーズやISO 14000シリーズを利用する機関,企業が急増していることもひと
つの裏づけといえるであろう。
計測の分野においては,国際的な商取引の整合性を確保する統一的な測定結果の信頼性の必要性が高まってき
たわけである。
例えば,ある計測器を用いて検査や試験を行うとき,予めその検査や試験の結果に対する信頼性を確保しておかな
ければ,その検査や試験が適切であったかどうか判断できない。
以上のことから,計測における信頼性評価のガイドとして“GUIDE TO THEEXPRESSION OF UNCERTAINTY IN
MEASUREMENT”: (GUM),日本規格協会版“計測における不確かさの表現のガイド”が発刊され,「測定の不確か
さ」という国際的に共通の測定結果に対する信頼性の指標ができたということである。
1 産業分野における製品の品質を保証するためには,適切な管理が行われた検査,試験で確認されている。この
検査,試験において,得られた結果の信頼性を確保するための評価が必要であることを理解する。計測の信頼
性評価は,農業,医療,食品等,広く関係する。
2 製品の品質を判定する検査,試験の測定結果が大きくずれていると,不良品を多く市場に出してしまう。測定結
果の信頼性を確保するためには,その値が計量標準へのトレーサビリティが必要であることを認識する。
3 測定対象や使用した計測器の持つばらつき(曖昧さ)によって,得られた測定結果には,ばらつきを生じている。
すなわち測定結果の値は,1つの候補だけでなく,ある範囲で無数の値の候補があるということ,すなわち測定結
果は不確かな範囲をもっているということを理解する。
4 計測の信頼性評価について,これまで国際的に統一された手法が決められていなかった。計測の信頼性評価の
表現について,「測定の不確かさ」が国際的合意に至る歴史的経緯と国際標準化の背景を知る。
5 不確かさ評価に必要な標準偏差などの統計的な基礎を学習し,不確かさがどのような方法で評価されるのかを
習得する。
6 不確かさを考慮した場合の合否判定については,国際的な指針が出ている。ここでは,適合性の表明において
不確かさがどのように考慮されるのかを理解する。
各項目とそのキーワードをまとめると次のとおりである。
1 製品の品質保証と計測の信頼性製品仕様より厳しく設定した社内基準
2 計量標準と計測のトレーサビリティSI単位,結果の質の指標(不確かさ)
3 不確かさとは何か
−歴史的経緯共通の尺度の必要性GUMの発行
−普及と背景品質マネジメントシステムで必要
4 不確かさ評価に必要な統計的基礎実験標準偏差,自由度
5 不確かさ評価の概要
−誤差と不確かさの違い測定結果の認識限界,誤差との相違点
−不確かさ評価の流れ個々の不確かさを抽出,評価,合成
−不確かさ要因の考察結果に有意な要因をピックアップ
−タイプAの評価法平均値の実験標準偏差の算出
−タイプBの評価法確率分布を仮定し評価
−測定結果を導く数学モデル感度係数の重要性
−不確かさの合成と拡張2乗和平方根,包含係数で拡張
−不確かさの報告不確かさの表記方法
6 不確かさと適合性の表明不確かさを取り入れた合否判定
図に示すように,一般に生産において,製品の品質を保証するためには,検査や試験が行われる。
このとき得られた測定結果を合否判定し,良/不良の判定が行われる。
ここで着目すべき点は,検査や試験で得られた測定結果がどの程度信用できるものなのかということである。
すなわち,使用される計測器の品質を維持するために精度管理が必要となる。
一般的に,計測器の試験や校正を定期的に試験所や校正機関に依頼し,計測器の測定値が信頼できることを担保
している。
産業界から計測器の試験又は校正の依頼を受けた試験所や校正機関は,確実な計測器の値付けを行うため,計量
標準につながる標準の値を維持管理している。
測定結果の信頼性を確保するためには,計測の精度管理が不可欠であると言うことと,得られた測定結果がいつも
同じ値とはならない,ばらつきを持っているということを知ってもらう。
計測器が持っているばらつきは,製品の品質保証に影響を与えており,直接的に製品のばらつきに関係付けられる。
校正とは,計器又は測定系の示す値,若しくは実量器又は標準物質の表す値と,標準によって実現される値との間
の関係を確定する一連の作業。備考:校正には,計器を調整して誤差を修正することは含まない。( JIS Z 8103 計測
用語より)
一般に製造者は,製品の仕様値より厳しい社内基準を設けており,検査や試験で得られた測定結果がその社内基
準に対し合格か不合格かの判定を行っている。
ここでは,±1.0%の製品の仕様値を満足させ,市場に不合格品を合格として出荷しない事例を上げて,製品の仕様
値はどのようにして決定しているのか考察してみよう!
関係を式で表すと
製品の仕様値=社内基準+製品の仕様値を保証するためのバンド幅
では,製品の仕様値を保証するためのバンド幅は,何に基づき,どの程度の大きさにすればよいのだろうか?
検査,試験を行うためには,測定が行われている。
この測定において,使用する計測器の精度管理が必要であることは既に述べたとおりである。
すなわち,製品の仕様値に対し,厳しく設定された社内基準は,検査や試験の測定に使用される計測器の精度管
理によって決まると言える。
では,計測器の精度管理とは,いったいどのようなことなのか?
精度管理とは,良い製品(技術)を社会に提供し,ユーザーの信用を高めることを目的として,正確な計測を行うため,
精度維持に係わる管理を言う。
精度管理のポイントは,検査や試験に使用される計測器の許容差,履歴管理などの社内基準を設けて,計測器が
所定の精度を維持していることを確認することが重要なポイントである。
また,検査や試験の方法及び手順を明確にするため手順書を作成し,作業者によって測定作業の質が変わらない
ようにすることも重要なファクターである。
計測器の精度を保証するためには,その計測器のもつ誤差を知ることも重要である。そのためには,計量標準へ値
がつながるトレーサビリティを確保することが必要となる。
試験所又は校正機関に計測器を試験や校正を定期的に依頼し,発行される試験報告書又は校正証明書に記載さ
れた結果から,計測器の誤差を知り,補正することで正確な測定が担保されているのである。
なお,計測器を多数保有する製造者は,社内に計測管理を行う部門を持ち,そこで社内標準を維持し,生産ライン
の計測器管理を行っている。
さて,この精度管理を定量的に把握するにはどうすればようのだろうか?
闇雲に社内基準を厳しくすると不良品率が上がり,コスト高や歩留まりが悪くなってしまい,生産者リスクが高くなる。
逆に社内基準を甘く設定すると不合格品が市場に出回り,消費者リスクが高くなる。
極端な場合は,リコール等で生産者にそのリスクは跳ね返ってしまう。
よって,社内基準を決定するためには,製品の仕様値を保証するためのバンド幅の定量的な評価が重要となる。
ここでいう消費者リスクは,「適合として判定された不適合品を使用する」リスク,生産者リスクは,「品質保証のための
管理コスト」をいう。
@社内基準が厳しすぎると生産者リスクが大きくなり,逆に甘すぎると消費者リスクが大きくなるということは,どういうこ
とか。具体的な例を挙げて,適切なバンド幅を決定することの重要性について考えよ。
闇雲に社内基準を厳しくすると不良品率が上がり,コスト高や歩留まりが悪くなってしまい,生産者リスクが高くなる。
逆に社内基準を甘く設定すると不合格品が市場に出回り,消費者リスクが高くなる。
極端な場合は,リコール等で生産者にそのリスクは跳ね返ってしまう。
A計測器の精度管理について述べたポイントを踏まえ,具体的な管理方法について考察せよ。
計測器で測定した結果が有効であるかどうかを確認するために,計測器の許容差を参考に計量標準へのトレーサ
ビリティのとれた定期的な校正を履歴管理として取り決め,社内の精度管理基準を決定する。併せて,検査や試験の
作業手順を文書化(マニュアル化)する。
◆ 解説
昔は,国ごと地域ごとに単位が異なっていたために,国が違えば,単位は通用しなかった。
SI単位の導入によって,単位と標準の国際的統一がなされ,世界中で通用する単位が作られた。しかし,その後,測
定値は通用するが,その値はどのくらい信頼できるのかという問題が生じた。
つまり,1mというのは分かるが,その1mという値はどのくらい信用ができるのかということの表し方が,国あるいは量ご
との分野でばらばらだった。
そこで,SI単位を導入して単位の統一を図ったように,「不確かさ」を導入して測定結果の質の表現方法も統一した。
◆ 参考
メートル法(SI)関連の経緯
1948年(第9回国際度量衡総会:CGPM)
・計量単位の完全な規制の確立を検討
・単位記号の一般原則
1954年(第10回国際度量衡総会:CGPM)
・6つの基本単位:(長さ,質量,時間,電流,熱力学温度,光度)
1960年(第11回国際度量衡総会:CGPM)
・国際単位(SI)の採用:基本単位,組立単位,補助単位,接頭語(12)
1971年(第12回国際度量衡総会:CGPM)
・7つの基本単位:(物理量を追加)
1991年
・7つの基本単位,組立単位,2つの補助単位,19の固有名称を持つ
組立単位,接頭語(20)
1995年(第20回国際度量衡総会:CGPM)
・2つの補助単位を無次元の組立単位として解釈
国際比較とは,各国の国家標準研究所が同様の測定の結果を比較して,国間で同じ値が出せているかどうかを
チェックするものである。
校正証明書とは,計測器や計量器(標準分銅,長さの標準であるブロックゲージ,電圧標準器,標準抵抗器など)が
校正を受けた場合に発行される証明書である。この証明書には,計測器や計量器が示す値(測定値や公称値など)
と標準が示す値との関係が記されている。
標準分銅1 kg 校正結果1.000 006 kg など
ワンストップテスティングとは,例えば日本の企業が海外に部品を10cm±1mmで発注したとき,今までは,海外の工
場で作られたあと検査をして日本に輸出していたが,日本ではその結果が信頼できないので,もう一度日本でも測定
を行っていた。
しかし,国際比較とトレーサビリティを組み合わせると,海外の測定結果を信頼することができるので,輸入後の測定
を省略することができる。
これをワンストップテスティングという。
トレーサビリティ制度については,次以降のスライドで詳し
トレーサビリティの語源は,TRACE(追跡)とABILITY(能力)である。
その値の標準をどんどん辿っていくと国家標準又は国際標準に繋がるということ。
トレーサビリティの定義にあるように,原則として「不確かさ」が表記された測定結果であるといことが重要である。
また,「不確かさ」は,結果の質についての指標であるから,トレーサビリティは,測定結果に対し有効であって,計測
器の性能すべてを保証するものでないということに注意する。
特定標準器とは,計量法に基づき指定された我が国の最高位の標準である国家計量標準をいう。
特定二次標準器は,ISO/IEC17025の登録を受けた校正機関(現在は計量法改正により登録制度となり登録事業者
というが,広くは認定事業者という表現が使われることが多い)が所有する一次標準をいい,特定標準器から校正さ
れて値が付けられる。
校正とは,計器又は測定系の示す値,若しくは実量器又は標準物質の表す値と,標準によって実現される値との間
の関係を確定する一連の作業。備考:校正には,計器を調整して誤差を修正することは含まない。( JIS Z 8103 計測
用語より)
質量のトレーサビリティについて考えてみよう。
Q1 普段,検査において,測定に用いている天秤はきちんと計量しているのか?
A1 上位の社内標準である分銅で校正を行っているので,正確な値を出している。
Q2 ではその分銅は正確な値であるのか?
A2 更に上位の分銅で校正を行っている。
Q3 更に上位の分銅はきちんととした値を出すのか?

A3 どんどん辿っていくと社内の一次標準である分銅は,日本国キログラム原器につながる校正を受けている。
というような校正のつながりで,国家標準或いは国際標準まで繋がっている事をトレーサビリティがとれているという。
トレーサビリティとは,下位から上位を見上げて,一番上まで見通すことができるということ。
一方,上位から下位に向かう方向は標準供給という。
しかし,両者は完全に対応していない。
例えば,法定計量などは,標準供給とは言うが,トレーサビリティはとれていない場合もある。
なぜなら,トレーサビリティの定義にもある「不確かさが評価されていない」ケースがあるためである。
なお,当然のことであるが,国立研究所で維持されている国家標準や国際標準の値に対しても,不確かさの評価が
なされており,そこで得られた結果にも不確かさが付いている。よって,国家標準の値の不確かさの大きさ(拡がり)の
範囲に真の値の候補がある。
(参考)質量については,国際標準があり,BIPMで保管されている。
1977年に国際度量衡委員会(CIPM)が国際度量衡局(BIPM)に計測の信頼性の表現について,国際的合意のある
共通的尺度が必要であることを指摘し,勧告作成を要請した。
1980年BIPM作業部会は,簡潔な概要として勧告(INC-1)を作成。
1981, 1986 年にCIPMが勧告を承認し,ISO(国際標準化機構)詳細ガイド作成を依頼した。IEC(国際電気標準会
議),OIML(国際法定計量機関),IUPAP(国際純粋及び応用物理学連合),IUPAC(国際純正及び応用化学連合),
IFCC(国際臨床化学連合)の協力得て,1993年に国際的に統一された不確かさの表現のガイド「GUM」を発行した。
最新版は,1995年,日本語訳は日本規格協会から出版されている。
なお,現在はILAC(国際試験所認定協力機構)が加わり,JCGM(Joint Committeefor Guides in Metrology)がGUM
のメンテナンス及び補足文書の作成に取り組んでいる。
GUM(ガム)とは,不確かさの一番大元となる本。
不確かさを評価しようという人は,手元にあったほうがよい。
しかし,内容が非常に複雑なので,1ページ目から順番に読むことはしない方がよい。まずは,不確かさに関する基
礎的な解説書を読むことから始め,GUMは,その解説書にもどうするか載っていないようなことを調べたいときに引く
というように「不確かさの六法全書」と位置付けるとよい。
法律を学び始めるときに六法全書を1ページ目から読んで勉強するというより,入門書,判例集から勉強した方がよい
ように,不確かさも入門書,事例集などを参考に勉強し始め,困ったときにGUMを引けばよい。
不確かさの普及と背景については,
??トレーサビリティへの不確かさ概念の取り込み「いわゆる定義の改定」
→ 測定の不確かさに寄与し、文書化された、切れ目のない校正の連鎖を通して、
参照(計量標準)に結び付けることができる測定結果の性質。
??ISO/IEC 17025 (JIS Q 17025) による校正機関・試験所の認定の要求事項として
「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」
→ 試験所は,測定の不確かさを推定する手順をもち,適用する(5.4.6)
??国家標準の基幹比較← 計測標準の国際相互認証の動き国際比較の妥当性,信頼性のため
??品質マネジメントシステムの認証制度(ISO 9000’s, ISO/TS16949等)
→ 品質管理におけるトレーサビリティが要求される。
??アメリカ機械学会や米国立標準技術研究所(NIST)により,学術誌でのデータ掲載において,不確かさ表記を義務
づけ,測定データは,値とその確からしさが与えられて初めて完全な情報であるという認識が普及した。
ということが挙げられる。
これはGUMから引用したもの。
端的に言うと,不確かさとは,ばらつきである。この意味するところは,「分かっているかたよりは,補正しなさい」という
ことになっている。
砂時計の例は,一般的にイメージできるばらつきを紹介している。
しかし,GUMでは,このようなばらつきに加え,体温計の例で示すように,
「37.15から37.25*の間のどこかには存在するが,どこに存在するのか分からない。」
つまり,「確定できないかたより」は,ばらつきと同等に扱うということである。
測定値がいつも同じ値とならないという「ばらつき」とある範囲の何処にあるのか分らないという「不可知なかたより」が,
GUMでいう「ばらつき」になるということ。
この点を理解していないと,不確かさの考えについていけなくなる。
GUMの原文(英語)では,ばらつきは「dispersion」であり,この単語は,上記のように,ばらつきと不可知なかたよりと
いう広い意味で用いられている。
合理的に測定量に結びつけられ得る値とは,測定量の真の値の候補という意味である。
すなわち,測定結果を中心に不確かさの範囲には,「真の値」の候補が存在するということである。
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