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〒885-0112 宮崎県都城市乙房町1690-10

環境 参考規格HEADLINE

規格

ISO14001
序文
この規格は,2015年に第3版として発行されたISO14001を基に,技術的内容及び構成を変更することなく作成した日本工業規格である。
 なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

0.1 背景
 将来の世代の人々が自らのニーズを満たす能力を損なうことなく,現在の世代のニーズを満たすために,環境,社会及び経済のバランスを実現する

ことが不可欠であると考えられている。到達点としての持続可能な開発は,持続可能性のこの“三本柱”のバランスをとることによって達成される。

 厳格化が進む法律,汚染による環境への負荷の増大,資源の非効率的な使用,不適切な廃乗物管理,気候変軌生態系の劣化及び生物多様性の

喪失に伴い,持続可能な開発,透明性及び説明責任に対する社会の期待は高まっている。

 こうしたことから,組織は,持続可能性の“環境の柱”に寄与することを目指して,環境マネジメントシステムを実施することによって環境マネジメント

のための体系的なアプローチを採用するようになってきている。

0.2 環境マネジメントシステムの狙い

 この規格の目的は,社会経済的ニーズとバランスをとりながら,環境を保護し,変化する環境状態に対応するための枠組みを組織に提供することで

ある。この規格は,組織が,環境マネジメントシステムに関して設定する意図した成果を達成することを可能にする要求事項を規定している。

 環境マネジメントのための体系的なアプローチは,次の事項によって,持続叶碓な開発に寄与することについて,長期的な成功を築き,選択肢を作

り出すための情報を,トップマネジメントに提供することができる。

一 有害な環境影響を防止又は緩和することによって,環境を保護する。

一 組織に対する,環境状態から生じる潜在的で有害な影響を緩和する。

一 組織が順守義務を満たすことを支援する。

一 環境パフォーマンスを向上させる。

一 環境影響が意図せずにライフサイクル内の他の部分に移行するのを防ぐことができるライフサイクルの視点を用いることによって,組織の製品及
びサービスの設計,製造,流通,消費及び廃棄の方法を管理するか,又はこの方法に影響を及ぼす。

一 市場における組織の位置付けを強化し,かつ,環境にも健全な代替策を実施することで,財務上及び運用上の便益を実現する。

一 環境情報を,関連する利害関係者に伝達する。

 この規格は,他の規格と岡様に,組織の法的要求事項を増大又は変更させることを意図していない。

0.3 成功のための要因
 環境マネジメントシステムの成功は,トップマネジメントが主導する,組織の全ての階層及び機能からのコミットメントのいかんにかかっている。組織

は,有害な環境影響を防止叉は緩和し,有益な環境影響を増大させるような機会,中でも戦略及び競争力に関連のある機会を活用することができる

。トップマネジメントは,他の事業上の優先事項と整合させながら,環境マネジメントを組織の事業プロセス,戦略的な方向性及び意思決定に統合し

,環境上のガバナンスを組織の全体的なマネジメントシステムに組み込むことによって,リスク及び機会に効果的に取り組むことができる。この規格をう

まく実施していることを示せば,有効な環境マネジメントシステムをもつことを利害関係者に確信させることができる。

 しかし,この規格の採用そのものが,最適な環境上の成果を保証するわけではない。この規格の適用は,組織の状況によって,各組織で異なり得る

。二つの組織が,同様の活動を行っていながら,それぞれの順守義務,環境方針におけるコミットメント,環境技術及び環境パフォーマンスの到達点

が異なる場合であっても,共にこの規格の要求事項に適倉することがあり得る。

 環境マネジメントシステムの詳細さ及び複雑ざのレベルは,組織の状況,環境マネジメントシステムの適用範囲,順守義務,並びに組織の活動,製品

及びサービスの性質(これらの環境側面及びそれに伴う環境影響も含む。)によって異なる。

0.4 Plan-DO-Check-Actモデル

 環境マネジメントシステムの根底にあるアプロ−チの基礎は.Plan-Do-Chcck-Act(PDCA)という概念に基づいている。PDCAモデルは,継続的改善

を達成するために組織が用いる反復的なプロセスを示している。PDCAモデルは,環境マネジメントシステムにも,その個々の要素の各々にも適用で

きる。PDCAモデルは,次のように簡潔に説明できる。

− Plan:組織の環境方針に沿った結果を出すために必要な環境目標及びプロセスを確立する。

− Do: 計画どおりにプロセスを実施する。

− Check:コミットメントを含む環境方針,環境目標及び運用基準に照らして,プロセスを監視し,測定し,その結果を報告する。

− Act:継続的に改善するための処置をとる。

 図1は,この観格に導入された枠組みが,どのようにPDCAモデルに統合され得るかを示しており,新規及び既存の利用者がシステムアプローチの

重要性を埋解する助けとなり得る。

(図1)略

0.5 この規格の内容
 この規格は,国際標準化機構(lSO)及びJISのマネジメントシステム規格に対する要求事項に適合している。これらの要求事項は,複数のlSO及び

JISのマネジメントシステム規格を実施する利用者の便益のために作成された,上位構造,共通の中核となるテキスト.共通用語及び中核となる定義

を含んでいる。

 この規格には,品質マネジメント,労働安全衛生マネジメント,エネルギーマネジメント,財務マネジメントなどの他のマネジメントシステムに固有な要

求事項は含まれていない。しかし,この規格は,組織が,環境マネジメントシステムを他のマネジメントシステムの要求事項に統合するために共通のア

プローチ及びリスクに基づく考え方を用いることができるようにしている。

 この規格は,適合を評価するために用いる要求事項を規定している。組織は,次のいずれかの方法によって,この規格への適合を実証することが

できる。

− 自己決定し,自己宣言する。

− 適合について,組織対して利害関係をもつ人又はグループ,例えば観客などによる確認を求める。

− 自己宣言について組織外部の人又はグループによる確認を求める。

− 外部機関による環境マネジメントシステムの認証・登録を求める。

 附属書Aには,この規格の要求事項の誤った解釈を防ぐための説明を示す。附属書Bには,旧規格(JISQ 14001:2004)とこの規格との間の広範な

技術的対応を示す。環境マネジメントシステムの実施の手引は,JIS Q 14004に記載されている。

 この規格では,次のような表現形式を用いている。

− “〜しなければならない”(shall)は,要求事項を示し,

− “〜することが望ましい”(shoud)は,推奨を示し,

− “〜してもよい”(may)は,許容を示し,

− “〜することができる”,“〜できる”,“〜し得る”など(can)は,可能性又は実現能力を示す。

 “注記”に記載されている情報は,この規格の理解又は利用を助けるためのものである。箇条3で用いている“注記’は,用語データを補完する追加

情報を示すほか,用語の使用に関する規定事項を含む場合もある。

 箇条3の用語及び定義は,概念の順に配列し,巻末には五十音順及びアルファベット順の索引を記載した。

l 適用範囲
 この規格は,組織が環境パフォーマンスを向上させるためこ用いることができる環境マネジメントシステムの要求事項について規定する。この規格

は,持続可能性の“環境の柱”に寄与するような体系的な方法で組織の環境責任をマネジメントしようとする組織によって用いられることを意図してい

る。
 この規格は,組織が,環境,組織自体及び利害関係者に価値をもたらす環境マネジメントシステムの意図した成果を達成するために役立つ。環境マ

ネジメントシステムの意図した成果は,組織の環境方針に整合して,次の事項を含む。

一 環境パフォーマンスの向上

一 順守義務を満たすこと

一 環境目標の達成

 この規格は,規模,業種・形態及び性質を問わず,どのような組織にも適用でき,組織がライフサイクルの視点を考慮して管理することができる又は

影響を及ぼすことができると決定した,組織の活動,製品及びサービスの環境側面に適用する。この規格は.特定の環境パフォーマンス基準を規定

するものではない。

 この規格は,環境マネジメントを体系的に改善するために,全体を又は部分的に用いることができる。

しかし,この規格への適合の主張は,全ての要求事項が除外されることなく組織の環境マネジメントシステムに組み込まれ,満たされていない限り,容

認きれない。

  注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

   ISO 14001;2015,Emironmental management systems−Requirements with guidance for use(lDT)

     なお,対応の程度を表す記号“lDT”は,ISO/lEC Guide21-1に基づき,“一致している”ことを示す。

2 引用規格
 この規格には,引用規格はない。

3 用語及び定義

 この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1 組織及びリーダーシップに関する用語

3.1.1
マネジメントシステム(managememt system)
 方針,目的(3.2.5)及びその目的を達成するためのプロセス(3.3.5)を確立するための,相互に関連する又は相互に作用する,組織(3.1.4)の一連の要素。

 注記1 一つのマネジメントシステムは,単一又は複数の分野(例えば,品質マネジメント,環境マネジメント,労働安全衛生マネジメント,エネルギーマネジメント,財務マネジメント)を取り扱うことができる。

  注記2 システムの要素には,組織の構造,役割及び責任,計画及び運用,パフォーマンス評価並びに改善が含まれる。

  注記3 マネジメントシステムの適用範囲としては,組織全体,組織内の固有で特定された機能,組織内の固有で特定された部門,複数の組織の集まりを横断する一つ又は複数の機能,などがあり得る。

3.1.2
環境マネジメントシステム(environmental management system)

 マネジメントシステム(3,1,1)の一部で,環境側面(3,2,2)をマネジメントし,順守義務(3,2,9)を満たし,リスク及び機会(3,2,11)に取り組むために用いられるもの。

3.1.3
環境方針(environmental poJicy)

トップマネジメント(3,1,5)によって正式に表明された,環境パフォーマンス(3,4,11)に関する,組織(3.1.4)の意図及び方向付け。

3.1.4
組織(organization)

 自らの目的(3.2.5)を達成するため,責任,権限及び相互関係を伴う独自の機能をもつ,個人又は人々の集まり。

 注記 組織という概念には,法人か否か,公的か私的かを問わず,自営業者,会社,法人,事務所,企業,当局,共同経営会社,非営利団体若しく

は協会.又はこれらの一部若しくは組合せが含まれる。ただし,これらに限定されるものではない。

3.1.5
トップマネジメント(top management)

 最高位で組織は(3.1.4)を指揮し,管理する個人叉は人々の集まり。

 注記l トップマネジメントは,組織内で,権限を委譲し,資源を提供する力をもっている。

 注記2 マネジメントシステム(3.1.1)の適用範囲が組織の一部だけの場合,トップマネジメントとは,組織内のその一部を指揮し,管理する人をいう。
3.1.6
利害関係者(interested party)

 ある決定事項若しくは活動に影響を与え得るか,その影響を受け得るか,又はその影響を受けると認識している,個人又は組織(3.1.4)。

 例 顧客,コミュニティ,供給者,規制当局,非政府組織(NGO),投資家,従業員
 
注記“影響を受けると認識している”とは,その認識が組織に知らされていることを意味している。

3.2 計画に関する用語

3.2.1
環境(environmcnt)

 大気,水,土地,天然資源,植物,動物,人及びそれらの相互関係を含む,組織(3.1.4)の活動をとりまくもの。

 注記1“とりまくもの”は,組織内から,近隣地域,地方及び地球規模のシステムにまで広がり得る。

 注記2  “とりまくもの”は,生物多様性 生態系,気候叉はその他の特性の観点から表されることもある。

3.2.2
環境側面(environmental aspect)

 環境(3.2.1)と相互に作用する,叉は相互に作用する可能性のある.組織(3.1.4)の活動叉は製品又はサービスの要素。

 注記1 環境側面は,環境影響(3.2.4)をもたらす可能性がある。著しい環境側面は,一つ叉は複数の著しい環境影響を与える又は与える可能性がある。

 注記2 組織は,一つ又は複数の基準を適用して著しい環境側面を決定する。

3.2.3
環境状態(envjronmemtal condition)

 ある特定の時点において決定される,環境(3.2.1)の様相又は特性。

3.2.4
環境影響(environmenlal impact)

 有害か有益かを問わず,全体的に又は部分的に組織(3.1.4)の環境側面(3.2.2)から生じる,環境(3.2.1)に対する変化。

3.2.5
目的,目標(objective)

 達成する結果。

  注記1 目的(又は目標)は,戦略的,戦術的又は運用的であり得る。

  注記2 日的(又は目標)は,様々な領域[例えば,財務,安全衛生,環境の到達点(goal)]に関連し得るものであり,様々な階層[例えば,戦略的レ

ベル,組織全体,プロジェクト単位,製品ごと,サービスごと,プロセス(3.3.5)ごと]で適用できる。

  注記3 目的(又は目標)は,例えば,意図する成果, 目的(purpose),運用基準など,別の形で表現することもできる。また,環境目標(3.2.6)という

表現の仕方もある。又は,同じような意味をもつ別の言葉[例 狙い(aim),到達点(goal),目標(target)]で表すこともできる。

3.2.6
環境目標(environmenta1 objective)

 組織(3.1.4)が設定する,環境方針(3.1.3)と整合のとれた目標(3.2.5)。

3.2.7
汚染の予防(prevention of pollutiun)

 有害な環境影響(3.2.4)を低減するた馴こ,様々な種類の汚染物質又は廃棄物の発亀排出又は放出を回避,低減文は管理するためのプロセス(

3.3.5),操作,技法,材料,製鼠サービス叉はエネルギーを(個別に叉は組み合わせて)使用すること。

 注記 汚染の予防には,発生源の低減若しくは排除,プロセス,製品若しくはサービスの変更,資源の効率的な使用,代替材料及び代替エネルギーの

利用,再利用,回収,リサイクル,再生又は処理が含まれ得る。

3.2.8
要求事頂(requirement)

 明示されている,通常暗黙のうちに了解されている又は義務として要求されている,ニーズ叉は期待。

  注記1 “通常暗黙のうちに了解されている”とは,対象となるニーズ又は期待が暗黙のうちに了解されていることが,組織(3.1.4)及び利害関係者(

3.1.6)にとって,慣習又は慣行であることを意味する。

  注記2 規定要求事項とは,例えば,文書化した情報(3.3.2)の中で明示されている要求事項をいう。

  注記3 法的要求事項以外の要求事項は,組織がそれを順守することを決定したときに義務となる。

3.2.9
順守義務(compliance obligation)

 組織(3.1.4)が順守しなければならない法的要求事項(3.2.8),及び組織が順守しなければならない又は順守することを選んだその他の要求事項。

  注記1 順守義務は,環境マネジメントシステム(3.1.2)に関連している。

  注記2 順守義務は,適用される法律及び規制のような強制的な要求事項から生じる場合もあれば,組織及び業界の標準,契約関係,行動規範,

コミュニティグループ又は非政府組織(NGO)との合意のような,自発的なコミットメントから生じる場合もある。

3.2.10
リスク(risk)

 不確かさの影響。

  注記1 影響とは,期待されていることから,好ましい方向又は好ましくない方向にかい(乖)離することをいう。

  注記2 不確かさとは,事象,その結果又はその起こりやすさに関する,情報,理解又は知識に,たとえ部分的にでも不備がある状態をいう。

  注記3 リスクは,起こり得る“事象”(JIS Q 0073:2010の3.5.1.3の定義を参照。)及び“結果”(JIS Q 0073:2010の3.6.1.3の定義を参照),又はこれら

の組合せについて述べることによって,その特徴を示すことが多い。

  注記4 リスクは,ある事象(その周辺状況の変化を含む。)の結果とその発生が“起こりやすさ”(JIS Q 0073:2010の3.6.1.1の定義を参照。)との組

合せとして表現されることが多い。

3.2.11
リスク及び機会(risks and opportunities)

 潜在的で有害な影響(脅威)及び潜在的で有益な影響(機会)。

3.3 支援及び運用に関する用語

3.3.1
力量(competence)

 意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力。

3.3.2
文書化した情報(documented information)

組織(3.l.4)が管理し,維持するよう要求されている情報,及びそれが含まれている媒体。

  注記1 文書化した情報は,様々な形式及び媒体の形をとることができ,様々な情報源から得ることができる。

  注記2 文書化した情報には,次に示すものがあり得る。

      − 関連するプロセス(3.3.5)を含む環境マネジメントシステム(3.1.2)

      − 組織の運用のために作成された情報(文書類と呼ぶこともある。

       − 達成された結異の証拠(記録と呼ぶこともある。)

3.3.3
ライフサイクル(life cycle)

 原材料の取得又は天然資源の産出から,最終処分までを含む,連続的でかつ相互に関連する製品(又はサービス)システムの段階群。

 注記  ライフサイクルの段階には,原材料の取得,設計,生産,輸送又は配送(提供),使用,使用後の処理及び最終処分が含まれる。

[JIS Q 14044:2010の3.1を変更。“(又はサービス)”を追加し,文章構成を変更し,かつ,注記を追加している。]

3.3.4
外部委託する(outsource)(動詞)

 ある組織(3.1.4)の機能又はプロセス(3.3.5)の一部を外郭の組織が実施するという取決めを行う。

 注記 外部委託した機能又はプロセスはマネジメントシステム(3.1.1)の適用範囲内にあるが,外部の組織はマネジメントシステムの適用範囲の外に

ある。

3.3.5
プロセス(process)

 インプットをアウトプットに変換する,相互に関連する叉は相互に作用する一連の活動。

  注記 プロセスは,文書化することも,しないこともある。

3.4 パフォーマンス評価及び改善に関する用語

3.4.1
監査(audit)

 監査基準が満たされている程度を判定するために,監査証拠を収集し,それを客観的に評価するための,体系的で,独立し,文書化したプロセス(3.3.5)。

  注記1 内部監査は,その組織は(3.1.4)自体が行うか,又は組織の代理で外部関係者が行う。

  注記2 監査は,複合監査(複数の分野の組合せ)でもあり得る。

  注記3 独立性は,監査の対象となる活動に関する責任を負っていないことで,又は偏り及び利害抵触がないことで,実証することができる。

  注記4 JIS Q 19011:2012の3.3及び3.2にそれぞれ定義されているように,“監査証拠”は.監査基準に関連し,かつ,検証できる,記録,事実の記述

又はその他の情報から成り,“監査基準”は,監査証拠と比較する基準として用いる一連の方針,手順又は要求事項(3.2.8)である。

3.4.2
適合(conformity)

 要求事項(3.2.8)を満たしていること。

3.4.3
不適合(nonconformity)

 要求事項(3.2.8)を満たしていないこと。

 注記 不適合は,この規格に規定する要求事項,及び組織(3.1.4)が自ら定める追加的な環境マネジメントシステム(3.1.2)要求事項に関連している。
3.4.4
是正処置(corrcctive action)
 
不適合(3.4.3)の原因を除去し,再発を防止するための処置。

  注記 不適合には,複数の原因がある場合がある。

3.4.5
継続的改善(continual improvement)

 パフォーマンス(3.4.10)を向上するために繰り返し行われる活動。

  注記1 パフォーマンスの向上は,組織(3.1.4)の環境方針(3.1.3)と整合して環境パフォーマンス(3.4.11)を向上するために,環境マネジメントシステ

ム(3.1.2)を用いることに関連している。

  注記2 活動は.必ずしも全ての領域で同時に,又は中断なく行う必要はない。

3.4.6
有効性(effctiveness)

 計画した活動を実行し,計画した結果を達成した程度。

3.4.7
指標(indicator)

 運用,マネジメント又は条件の状態又は状況の,測定可能な表現。 (ISO14031:2013の3.15参照)

3.4.8
監視(monitoring)

 システム,プロセス(3.3.5)又は活動の状況を明確にすること。

  注記 状況を明確にするために,点検,監督又は注意深い観察が必要な場合もある。

3.4.9
測定(measurement)

 値を決定するプロセス(3.3.5)。

3.4.10
パフォーマンス(performance)

 測定可能な結果。

  注記 1 パフォーマンスは,定量的又は定性的な所見のいずれにも関連し得る。

  注記2 パフォーマンスは,活動,プロセス(3.3.5),製品(サービスを含む。),システム又は組織(3.1.4)の運営管理に関連し得る。

3.4.11
環境パフォーマンス(environmental performance)

 環境側面(3.2.2)のマネジメントに関連するパフォーマンス(3.4.10)。

  注記 環境マネジメントシステム(3.1.2)では,結果は,組織(3.1.4)の環境方針(3.1.3),環境目標(3.2.6),又はその他の基準に対して,指標(3.4.7)

を用いて測定可能である。

4 組織の状況


4.1 組織及びその状況の理解

 組織は,組織の目的に関連し,かつ,その環境マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題

を決定しなければならない。こうした課題には,組織から影響を受ける又は組織に影響を与える可能性がある環境状態を含めなければならない。

4,2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
 組織は,次の事項を決定しなければならない。

a)環境マネジメントシステムに関連する利害関係者

b)それらの利害関係者の,関連するニーズ及び期待(すなわち,要求事項)

c)それらのニーズ及び期待のうち 組織の順守義務となるもの

4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の決定
 組織は,環境マネジメントシステムの適用範囲を定めるために,その境界及び適用可能性を決定しなければならない。

 この適用範囲を決定するとき,組織は,次の事項を考慮しなければならない。

a) 4.1に規定する外部及び内部の課題

b) 4.2に規定する順守義務

c) 組織の単位,機能及び物理的境界

d) 組織の活動, 製品及びサービス

e) 管理し影響を及ぼす,組織の権限及び能力

 適用範囲が定まれば,その適用範囲の中にある組織の全ての活動,製品及びサービスは,環境マネジメントシステムに含まれている必要がある。

 環境マネジメントシステムの適用範囲は,文普化した情報として維持しなければならず,かつ,利害関係者がこれを入手できるようにしなければなら

ない。.

4.4 環境マネジメントシステム
 環境パフォーマンスの向上を含む意図した成果を達成するため,組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を

含む,環境マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,継続的に改善しなければならない。

 環境マネジメントシステムを確立し推持するとき,組織は,4.1及び4.2で得た知識を考慮しなければならない。

5 リーダーシップ

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

トップマネジメントは,次に示す事項によって,環境マネジメントシステムに関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。

a)環境マネジメントシステムの有効性に説明責任を負う。

b)環境方針及び環境目標を確立し.それらが組織の戦略的な方向性及び組織の状況と両立することを確実にする。

c)組織の事業プロセスへの環境マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする。

d)環境マネジメントシステムに必要な資源が利用可能であることを確実にする。

e) 有効な環境マネジメント及び環境マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達する。

f) 環境マネジメントシステムがその意図した成果を達成することを確実にする。

g)環境マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を指揮し,支援する。

h)継続的改善を促進する。

i)その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう,管理層の役割を支援する。
                                                             
 注記 この規格で“事業”という場合,それは,組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解釈され得る。

5.2 環境方針

トップマネジメントは,組織の環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で,次の事項を満たす環境方針を確立し.実施し,維持しなければ

ならない。

a)組織の目的,並びに組織の活動,製品及びサービスの性質,規模及び環境影響を含む組織の状況に対して適切である。

b)環境目標の設定のための枠組みを示す。

c)汚染の予防,及び組織の状況に関連するその他の固有なコミットメントを含む,環境保護に対するコミットメントを含む。

  注記 環境保護に対するその他の固有なコミットメントには,持続可能な資源の利用,気候変動の緩和及び気候変動への適応,並びに生物多様

性及び生態系の保護を含み得る。

d)組織の順守義務を満たすことへのコミットメントを含む。

e)環境パフォーマンスを向上させるための環境マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。

 環境方針は,次に示す事項を満たさなければならない。

− 文書化した情報として維持する。

− 組織内に伝達する。

一 利害関係者が人手可能である。

5.3 組織の役軋 責任及び権限

トップマネジメントは,関連する役割に対して,責任及び権限が割り当てられ,組織内に伝達されることを確実にしなければならない。

トップマネジメントは,次の事項に対して,責任及び権限を割り当てなければならない。

a)環境マネジメントシステムが,この規格の要求事項に適合することを確実にする。

b)環境パフォーマンスを含む環境マネジメントシステムのパフォーマンスをトップマネジメントに報告する。

6 計画

6.1 リスク及び機会への取組み

6.1.1 一般
 組織は,6.1.1〜6.1.4に規定する要求事項を満たすために必要なプロセスを確立し,実施し,維持しなければならない。

 環境マネジメントシステムの計画を策定するとき,組織は,次のa)〜c)を考慮し,

a)4.1に規定する課題

b) 4.2に規定する要求事項

c))環境マネジメントシステムの適用範囲

次の事項のために取り組む必要がある,環境側面(6.1.2参照),順守義務(6.1.3参照),並びに4.1及び4.2で特定したその他の課題及び要求事項に関

連する,リスク及び機会を決定しなければならない。

− 環境マネジメントシステムが,その意図した成果を達成できるという確信を与える。

− 外部の環境状態が組織に影響を与える可能性を含め,望ましくない影響を防止又は低減する。

一 継続的改善を達成する。

 組織は,環境マネジメントシステムの適用範囲の中で,環境影響を与える可能性のあるものを含め,潜在的な緊急事態を決定しなければならない。

 組織は,次に関する文書化した情報を維持しなければならない。

一 取り組む必要があるリスク及び機会

一 6.1.1〜6.1.4で必要なプロセスが計画どおりに実施されるという確信をもつために必要な程度の,それらのプロセス

6.1.2.環境側面
 組織は,環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で,ライフサイクルの視点を考慮し.組織の活動,製品及びサービスについて,組織が

管理できる環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面,並びにそれらに伴う環境影響を決定しなければならない。

 環境側面を決定するとき,組織は,次の事項を考慮に入れなければならない。。

a)変更。これには,計画した又は新規の開発,並びに新規の又は変更された活動,製品及びサービスを含む。

b)非通常の状況及び合理的に予見できる緊急事態

 組織は,設定した基準を用いて,著しい環境影響を与える又は与える可能性のある側面(すなわち,著しい環境側面)を決定しなければならない。

 組織は,必要に応じて,組織の種々の階層及び機能において,著しい環境側面を伝達しなければならな
い。

 組織は,次に関する文書化した情報を維持しなければならない。

− 環境側面及びそれに伴う環境影響

一 著しい環境側面を決定するために用いた基準

一 著しい環境側面

  注記 著しい環境側面は,有害な環境影響(脅威)叉は前提な環境影響(機会)に関連するリスク及び機会をもたらし得る。

6.1.3 順守義務
 組織は,次の事項を行わなければならない。

a) 組織の環境側面に関する順守義務を決定し,参照する。

b)これらの順守義務を組織にどのように適用するかを決定する。

c) 環境マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,継続的に改善するときに,これらの順守義務を考慮に入れる。

 組織は,順守義務に関する文書化した情報を維持しなければならない。

  注記 順守義務は,組織に対するリスク及び機会をもたらし得る。

6.1..4 取組みの計画策定
 組織は,次の事項を計画しなければならない。

a) 次の事項への取り組み

  1) 著しい環境側面

  2)順守義務

  3)6.1.1で特定したリスク及び機会

b)次の事項を行う方法

 1) その取組みの環境マネジメントシステムプロセス(6.2,箇条7.箇条8及び9.1参照)又は他の事
  業プロセスへの統合及び実施

 2)その取組みの有効性の評価(9.1参照)
 これらの取組みを計画するとき,組織は,技術上の選択肢,並びに財務上,運用上及び事業上の要求事項を考慮しなければならない。

6.2 環境目標及びそれを達成するための計画策定

6.2.1 環境目標
 組織は,組織の著しい環境側面及び関連する順守義務を考慮に入れ.かつ,リスク及び機会を考慮し,関連する機能及び階層において,環境目標

を確立しなければならない。

 環境目標は,次の事項を満たさなければならない。

a)環境方針と整合している。

b)(実行可能な場合)測定可能である。

c)監視する。

d)伝達する。

e)必要に応じて,更新する。

 組織は,環境目標に関する文書化した情報を維持しなければならない。

6.2.2 環境目標を達成するための取組みの計画策定

 組織は,環境目標をどのように達成するかについて計画するとき,次の事項を決定しなければならない。

a) 実施事項

b) 必要な資源

c)責任者

d)達成期限

e)結果の評価方法。これには,測定可能な環境目標の達成に和すた進捗を監視するための指標を含む (9.1.1参照)。

 組織は,環境目標を達成するための取組みを組織の事業プロセスにどのように統合するかについて,考慮しなければならない。

7 支援

7.1 資源

 組織は,環境マネジメントシステムの確立,実施,維持及び継続的改善に必要な資源を決定し,提供しなければならない。

7.2 力量

 組織は,次の事項を行わなければならない。

a)組織の環境パフォーマンスに影響を与える業務,及び順守義務を満たす組織の能力に影響を与える業務を組織の管理下で行う人(又は人々)に必

要な力量を決定する。

b)適切な教育,訓練叉は経験に基づいて.それらの人々が力量を備えていることを確実にする。

c)組織の環境側面及び環境マネジメントシステムに関する教育訓練のニーズを決定する。

d)該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付けるための処置をとり,とった処置の有効性を評価する。

  注記 適用される処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教再訓練の提供、指導の実施,

    配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約締結などもあり得る。

 組織は,力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。

7.3 認識

 組織は,組織の管理下で働く人々が次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。

a)環境方針

b)自分の業務に関係する著しい環境側面及びそれに伴う顕在する又は潜在的な環境影響

c) 環境パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,環境マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献

d) 組織の順守義務を満たさないことを含む,環境マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味

7.4 コミュニケーション

7.4.1 一般

 組織は,次の事項を含む.環境マネジメントシステムに関適する内部及び外部のコミュニケーションに必要なプロセスを確立し,実施し,維持しなけ

ればならない。

a)コミュニケーションの内容

b) コミュニケーションの実施時期

c)コミュニケーションの対象者

d)コミュニケーションの方法

 コミュニケーションプロセスを確立するとき,組織は,次の事項を行わなければならない。

− 順守義務を考慮に入れる。

− 伝達される環境情報が,環境マネジメントシステムにおいて作成される情報と整合し,信頼性があることを確実にする。

 組織は,環境マネジメントシステムについての関連するコミュニケーションに対応しなければならない。

 組織は,必要に応じて,コミュニケーションの証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。

7.4.2 内部コミュニケーション

 組織は,次の事項を行わなければならない。

a)必要に応じて,環境マネジメントシステムの変更を含め,環境マネジメントシステムに関連する情報について,組織の種々の階層及び機能間で内部

コミュニケーションを行う。

b) コミュニケーションプロセスが,組織の管理下で働く人々の継続的改善への寄与を可能にすることを確実にする。

7.4.3 外部コミュニケーション

 組織は,コミュニケーションプロセスによって曜立したとおりに,かつ,順守義務による要求に従って,環境マネジメントシステムに関連する情報につ

いて外部コミュニケーションを行わなければならない。

7.5 文書化した情報

7.5.1 一般

 組織の環境マネジメントシステムは,次の事項を含まなければならない。

a)この規格が要求する文書化した情報

b) 環境マネジメントシステムの有効生のために必要であると組織が決定した、文書化した情報

  注記 環境マネジメントシステムのための文書化した情報の程度は,次のような理由によって,それぞれの組織で異なる場合がある。

    − 組織の規模,並びに活動,プロセス,製品及びサービスの種類

    − 順守義務を満たしていることを実証する必要性

    − プロセス及びその相互作用の複雑さ

    − 組織の管理下で働く人々の力量

7.5.2 作成及び更新

 文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実にしなければならない。

a)適切な識別及び記述(例えば,タイトル,日付,作成者,参照番号)

b)適切な形式(例えば,言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)

c)適切性及び妥当性に関する,適切なレビュー及び承認

7.5.3 文書化した情報の管理

 環境マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は.次の事項を確実にするために,管理しなければならない。

a)文書化した情報が必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態である。

b)文書化した情報が十分に保護されている(例えば,機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失からの保護)。

 文書化した情報の管理に当たって,組織は,該当する場合には,必ず,次の行動に取り組まなければならない。

一 配布,アクセス,検索及び利用

一 読みやすさが保たれることを含む,保管及び保存

一 変更の管理(例えば,版の管理)

一 保持及び廃棄

 環境マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化した情報は,必要に応じて識別し,管理しなければなら

ない。

 注記 アクセスとは,文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定,又は文書化した情報の閲覧及び変更の許可及び権限に関する決定を意味

し得る。

8 運用

8.1 運用の計画及び管理

 組織は,次に示す事項の実施によって,環境マネジメントシステム要求事項を満たすため,並びに6.1及び6.2で特定した取組みを実施するために必

要なプロセスを確立し,実施し,管理し,かつ,維持しなければならない。

− プロセスに関する運用基準の設定

− その運用基準に従った,プロセスの管理の実施

 注記 管理は,工学的な管理及び手順を含み得る。管理は,優先順位(例えば,除去,代替,管理的な対策)に従って実施されることもあり,また,

個別に又は組み合わせて用いられることもある。

組織は,計画した変更を管理し,意図しない変更によって生じた結果をレビューし,必要に応じて,有害な影響を緩和する処置をとらなければならない。
組織は,外部委託したプロセスが管理されている又は影響を及ぼされていることを確実にしなければならない。これらのプロセスに適用される,管理

する叉は影響を及ぼす方式及び程度は,環境マネジメントシステムの中で定めなければならない。

 ライフサイクルの視点に従って,組織は,次の事項を行わなければならない。

a) 必要に応じて,ライフサイクルの各段階を考慮して,製品又はサービスの設計及び開発プロセスにおいて,環境上の要求事項が取り組まれている

ことを確実にするために,管理を確立する。

b) 必要に応じて,製品及びサービスの調達に関する環境上の要求事項を決定する。

c) 請負者を含む外部提供者に対して,関連する環境上の要求事項を伝達する。

d) 製品及びサービスの輸送文は配送(提供)使用,使用後の処理及び最終処分に伴う潜在的な著しい環境影響に関する情報を提供する必要性につ

いて考慮する。

 組織は,プロセスが計画どおりに実施されたという確信をもつために必要な程度の,文昔化した情報を維持しなければならない。

8.2 緊急事態への準備及び対応

 組織は,6.1.1で特定した潜在的な緊急事態への準備及び対応のために必要なプロセスを確立し,実施し,維持しなければならない。

 組織は,次の事項を行わなければならない。

a) 緊急事態からの有害な環境影響を防止又は緩和するための処置を計画することによって,対応を準備する。

b) 潜在した緊急事態に対応する。

c) 緊急事態及びその潜在的な環境影響の大きさに応じて,緊急事態による結果を防止し又は緩和するための処置をとる。

d) 実行可能な場合には,計画した対応処置を定期的にテストする。

e)定期的に,また特に緊急事態の発生後叉はテストの後には,プロセス及び計画した対応処置をレビューし,改訂する。

f) 必要に応じて,緊急事態への準備及び対応についての関連する情報及び教育訓練を,組織の管理下で働く人々を含む関連する利害関係者に提

供する。

 組織は,プロセスが計画どおりに実施されるという確信をもつために必要な程度の,文書化した情報を維持しなければならない。

9 パフォーマンス評価

9.1 監視,測定,分析及び評価

9.l.1 一般

 組織は,環境パフォーマンスを監視し,測定し,分析し,評価しなければならない。

 組織は,次の事項を決定しなければならない。

a)監視及び測定が必要な対象

b)該当する場合には,必ず,妥当な結果を確実にするための,監視,測定,分析及び評価の方法

c)組織が環境パフォーマンスを評価するための基準及び適切な指標

d)監視及び測定の実施時期

e) 監視及び測定の結果の,分析及び評価の時期

 組織は,必要に応じて,枚正された又は検証された監視機器及び測定機器が使用され,維持されていることを確実にしなければならない。
                                                                       
 組織は,環境パフォーマンス及び環境マネジメントシステムの有効性を評価しなければならない。

 組織は,コミュニケーションプロセスで特定したとおりに,かつ,順守義務による要求に従って.関連する環境パフォーマンス情報について,内部と外

部の双方のコミュニケーションを行わなければならない。

 組織は,監視,測定,分析及び評価の結果の証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。

9.1.2 順守評価

 組織は,順守義務を満たしていることを評価するために必要なプロセスを確立し,実施し,維持しなければならない。
 
組織は,次の事項を行わなければならない。

a)順守を評価する頻度を決定する。

b)順守を評価し,必要な場合には,処置をとる。

c)順守状況に関する知識及び理解を維持する。

 組織は,順守評価の結果の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。

9.2 内部監査

9.2.1 一般

 組織は,環境マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供するために,あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければ

ならない。

a)次の事項に適合している。

1)環境マネジメントシステムに関して,組織自体が規定した要求事項

2)この規格の要求事項

3)有効に実施され,維持されている。

9.2.2 内部監査プログラム

 組織は,内部監査の頻度,方法,責任,計画要求事項及び報告を含む,内部監査プログラムを確立し,実施し,維持しなければならない。

 内部監査プログラムを確立するとき,組織は,関連するプロセスの環境上の重要性,組織に影響を及ぼす変更及び前回までの監査の結果を考慮

に入れなければならない。

 組織は,次の事項を行わなければならない。

a)各監査について,監査基準及び監査範囲を明確にする。

b)監査プロセスの客観性及び公平性を確保するために,監査員を選定し,監査を実施する。

c)監査の結果を関連する管理層に報告することを碓実にする。

 組織は,監査プログラムの実施及び監査結果の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。

9.3 マネジメントレビュー

トップマネジメントは,組織の環境マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当かつ有効であることを確実にするために,あらかじめ定めた間隔で,

環境マネジメントシステムをレビューしなければならない。

 マネジメントレビューは,次の事項を考慮しなければならない。

a)前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況

b)次の事項の変化

 1) 環境マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題

 2)順守義務を含む,利害関係者のニーズ及び期待

 3)著しい環境側面

 4)リスク及び機会

c) 環境目標が達成された程度

d) 次に示す傾向を含めた,組織の環境パフォーマンスに関する情報

1)不適合及び是正処置

 2)監視及び測定の結果

 3)順守義務を満たすこと

 4)監査結果

e) 資源の妥当性

f) 苦情を含む,利害関係者からの関連するコミュニケーション

g) 継続的改善の機会

 マネジメントレビューからのアウトアットには,次の事項を含めなければならない。

− 環境マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当かつ有効であることに関する結論

− 継続的改善の機会に関する決定

− 資源を含む,環境マネジメントシステムの変更の必要性に関する決定

− 必要な場合には,環境目標が達成されていない場合の処置

− 必要な場合には,他の事業プロセスへの環境マネジメントシステムの統合を改善するための機会

− 組織の戦略的な方向性に関する示唆

 組織は,マネジメントレビューの結果の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。

10 改善

10.1一般

 組織は.環境マネジメントシステムの意図した成果を達成するために,改善の機会(9.1,9.2及び9.3参照)を決定し,必要な取組みを実施しなければな

らない。

10.2 不適合及び是正処置

 不適合が発生した場合,組織は,次の事項を行わなければならない。

a)その不適合に対処し,該当する場合には,必ず,次の事項を行う。

1) その不適合を管理し,修正するための処置をとる。

2)有害な環境影響の緩和を含め,その不適合によって起こった結果に対処する。

b)その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため,次の事項によって,その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価

する。

 1)その不適合をレビューする。

 2)その不適合の原因を明確にする。

 3) 類似の不適合の有無,又はそれが発生する可能性を明確にする。.

c)必要な処置を実施する。

d)とった是正処置の有効性をレビューする。

e)必要な場合には,環境マネジメントシステムの変更を行う。

 是正処世は,環境影響も含め,検出された不適合のもつ影響の著しさに応じたものでなければならない。

 組織は,次に示す事項の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。

− 不適合の性質及びそれに対してとった処置                                                                                          
− 是正処置の結果

10.3 継続的改善

 組織は,環境パフォーマンスを向上させるために,環境マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない

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